You Private Label (Japanese Edition)

　咲玉市内で殺人事件が起きた。被害者は、時山由香。自宅で殺されていた。死因は絞殺だが、胸を二十数カ所刺されていただけでなく、背中には、ＫＡＩＢＡという文字が刻まれていた。　由香は、夫と双子の娘と幼い息子の四人で暮していた。一見、殺される理由のなさそうな善良な市民のようだったが、近所の主婦からは男性の影、家族には隠し事があるようにみえた。
　咲玉中央署の御子柴は、事件の解明に当たった。御子柴は、絞殺後、胸を刺す行為に疑問をもちながら捜査を進める。捜査の中で、由香が娘の交際について反対していたことや、幼い頃に妹と離れ離れになって、父親に育てられたということがわかってくる。また、由香が休日の医院を訪れていることも確認されていたが、ＫＡＩＢＡという謎めいた言葉と同様、犯人に直接繋がる手がかりは見出せないでいた。東の直観にもとづく推理も、骨髄バンクの捜査でご破算になった。
　北城大学教授・薬袋衛は、事件について、逐一、甥の御子柴から情報を得ながら、犯人に迫っていく。