「私も、命が尽きるまで、世界とともに叫び続けてみたいと思います」
生まれいづることにおびえる命が初めて瞳に映す、終末の7日間。うつくしき世界。ことばの端々までが繊細な、詩編のような短編小説。
”命は、生き物の瞳を通して、雨に濡れる木立を、下草を、アスファルトを、蜘蛛の巣を、坂道をちょろちょろと流れる小川を、しぶきの跳ねる水たまりに集ま るか細い生き物などを、じっと眺めて過ごしました。さあさあとけむるような雨は、風が吹くと、まるで薄布のようにひるがえりました。命は震えました。
「どうした、寒いのか」
「いいえ」
命は考え考え、答えました。
「なぜかはわかりません。しかし、愛おしいのです」
生き物は、しとしと降り止みつつある雨を、だんまり見つめておりました。葉末の露には、翼のすりきれた昆虫の姿が映っていました。”
Last 7 Days (Japanese Edition)
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