hekiga (Japanese Edition)

壁画の壁、とは見えない壁のことだ。私達常識を破ろうとする者、そして、現代に生きる青少年にとっての、その行き先を阻む、いわゆる、巨大な壁のことだ。融通が利かない、それは思っているよりも強固にあるものだ。子供の頃川遊びをした、今学校を抜け出しサボっている、目の前の、高架下の柱に似ている。デンとして、全くの壁だ。二人の才気ある青年、俊哉と、勇樹。そして、二人も焦がれた、絶世の美女である倉橋琴音。彼らも、その日常という中にいる。
　周りを壁で囲まれている者が、何をするか？　決まっている。あの名文句のように、【壁画を描いて、笑い飛ばそう】。
未来を見据える才能は、やたら、めったに、飛び出したがる。もっと、ゆっくりだとか、落ち着いてだとか、まるで、世界を掴んだ気でいるのだから。二人は、仲間や、天井の尋ね人らとの会話で、それでもなお、真っ直ぐに、それぞれの世界観を高めていく。最後に、その鉄橋の高架下に、それぞれの画を描きあげて見せて。