昭和三十年代の飛騨の山村。そこに育った知恵遅れの少女、「鈴」の数奇な人生。
<作中より>
不意に枝を踏んだ音が、不意に森閑な山に響いた。驚いた兎は、まさに脱兎の如く鈴の視界から消えた。
鈴は、いたずらを指摘された子供のような笑い顔を作る。
この所、鈴の動物観察はずっと上手くいっていなかった。
鈴は気づいていない。鈴の体は背も伸び体重も増え、昔のような身軽さは無くなってしまった事に。また、地面の枝に気をつけても、ふくよかに実った乳房や、丸く張った尻が枝葉に擦れ、どうしても物音を立ててしまう事に。
その分、呆けた表情を抜かせば、匂い立つような美人に成長したのに、可哀想な鈴はその事に気づいていないのだった。
<著者について>
2012年2月、オフィスマイカより「なんて美しく、なんて淫らな龍神姫様!」出版。1975年生まれ。石川県在住。
kyoujin (Japanese Edition)
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