Shit (Japanese Edition)

岡田 陽治――婚約者から二股をカミングアウトされ、あっけなく捨てられた男。ツイてないこと続きで、今が人生最底辺。ショットバーで働く。

緑のカーディガン――転がり込んでいた女の家を追い出され路頭に迷う。陽治の財布を拾い、気まぐれで、どんな奴か見てみたくなり、彼の働くバーに飲みに行く。

女と世間に対して持つ、鬱屈した感情を、クソッタレ！　という言葉と共に吐き出して、クズな生き方を押し通そうとする二人の男が、出会い、親近感を抱き、朝まで飲み明かす。一晩の物語。

“思うに人間っていうのは、みんな心の真ん中に穴が開いている。人の心っていうのは、ドーナツみたいな形だ。
　それぞれが、その中に好きなもんを詰め込んで穴を埋める――お金、仕事、ファッション、恋愛、音楽――なんでもいい。
　淀川みたいな男は、地位と収入、商売女に自己愛で、みっしり埋まっていて、必要ないかもしれないが、オレの穴を埋めるには、タバコの煙が必要だ。”　――本文より

本編文字数 28,171文字