大英帝国が誇る偉大なシノロジスト、翻訳家、ライオネル・ジャイルズ(Lionel Giles: 1875-1958)による『孫子兵法』の近代英語訳:'THE ART OF WAR'。
本書は、その人類の知的遺産ともいえる'THE ART OF WAR'を、日本語訳したものである。
ただし、ぎこちない直訳を排し、オリジナルの英文がわからなくなるような意訳を避け、正確でわかりやすい訳を心がけた。
その目的は、有用な日英中(漢)のトリリンガルな孫子兵法書を作ることである。
現代はグローバリズムが実現するボーダーレスな(国境がない)時代で、英語の重要性はますます高い。
また孫子は中国の古典であるが、現代でも多くの生活の場面で参考にできるリベラルアーツの側面を持つ。
孫子を英語と漢文で比較すると、そこに西洋と東洋の文化の差を発見できることがある。
英語で読む孫子兵法が狙うのは、これら英語学習、孫子読解、比較文化での一石三鳥である。
本書は、孫子全13篇の全篇を収めた「日本語版」の「全篇版」である。1篇づつに分けた短編版もあるので、一度に全部読む自信がない人はまず短篇版(1~13)を手に取って頂きたい。
本文は、ジャイルズが付した番号で区切りながら進める。1篇には20~70個の英文の段落がある。
英文の段落の下には、単語、和訳をつけてある。気になる文型や文法には、解説を加えた。
孫子兵法の中国語原文にあたる、漢文書き下し文は、英語の訳が釈然としない時などに参照すると理解の助けになる。
要所要所では、孫子の春秋戦国時代や軍事知識について解説している。
今、なぜ孫子を英語で読んでみることに意味があるのか?
ジャイルズは、その才覚によって中国の古典を英語化することに成功しており、その英文は随所に工夫があふれ、目を見張るべきものがある。当時の英国人が東洋の思想を理解し、翻訳することは相当慣れない作業であったと推測されるが、西洋の科学主義は見事にそれを克服している。大英帝国の底力を感じさせられるといって過言ではない。したがって、前述の通りこれを現代の日本語に訳し、日本の孫子理解と比較してみることは有意義である。
現代は、かつてないほどグローバリズムと地政学の重要性が高まっている。この中で、英語学習や東洋/西洋の価値観の理解は個人のためになる。
本書は、英語学習のみならずリベラルアーツとしての知識の拡充を、楽しく支える一書となるであろう。
なお、全篇版には、プロローグとエピローグに、KFF研究論文(※英文。プロローグには和訳あり)を付録として掲載した。『孫子』の現代的な読み方への提言や、孫子兵法を一歩超えた「法」そのものの存在の東西文明間での融合を視野に入れた本財団研究員の研究の成果である。
ユニークで画期的な本書をどこにでも持ち歩き(KINDLE版あり)、あらゆる前線(the front)で活用して頂きたい。
The Art of War And its Rendering into Japanese: eigo de yomu sonshi heihou (Japanese Edition)
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