孫子の曰う『道・天・地・将・法』の五事は、『道・将・法』が『人(人事)』で括(くく)られるため、「天・地・人(道・将・法)」の三事に集約されますが、その基本的立場は、天の時よりは地の利を貴び、地の利よりは人事(道・将・法)を重んじています。
言い換えれば、孫子は全篇がリーダー論であり、用兵は、つまるところ「人にあり」を論じています。
そのゆえに、「天」に関しては〈第一篇 計〉と〈第十二篇 火攻〉で少し触れる程度で、特に篇を設けることはしていませんが、「地」に関しては〈第一篇 計〉〈第四篇 形〉〈第七篇 軍争〉〈第八篇 九変〉〈第九篇 行軍〉〈第十篇 地形〉において、また〈第十一篇 九地〉では視点を変えてこれを論じています。
なかんずく本篇は、とりわけ地形を一篇として設け、地形(地理的条件)に基づいて行なう地形判断(地形の対処法・地の利)と、それを踏まえて、敵を料(はかり)り、勝ちを制するために行なう情勢判断の能力を、将軍の資質に関連する問題として論じている所に特色があります。
その意味において、もとより本篇は孫子十三篇中における地形論の中心を成すものでありますが、同時に、孫子の主要テーマたるリーダー論であり、かつ、〈第三篇 謀攻〉の結言、あるいは〈前篇 行軍〉に引き続いて「情勢判断」の何たるかを論ずるものと言うことができます。その内容は下記の目次に示す通りです。
【孫子正解】シリーズ第十二回 目次
第一章 〈第十篇 地形〉読み下し文
第二章 〈第十篇 地形〉の構成分類
第三章 本篇の趣旨
第四章 前段・地の道(地形判断・地の利の洞察)は将の至任
第一節 六種の地形
第二節 六種の地形の意味と地形判断(その対処法と地の利)
第三節 六種の地形・結言
第五章 前段・将の六過と敗の道(将の五徳・五危の意義)
第一節 地形に因らない(人事たる将の六過に起因する)六種の敗兵
第二節 六種の敗兵(将の六過・敗の道)の分説
第三節 六種の敗兵の結言
第六章 前段・結言(上将の道)
第七章 中段・将帥論
第一節 上将の道を心得ている者であること
第二節 状況即応して独断専行できる決断力があること
第三節 自己犠牲・滅私奉公の精神があること
第四節 合交斉武の統率法による「道」の実現を志す者であること
第八章 後段・状況判断と地形の関係
第九章 本篇の結言
sonshiseikaishiriizu daijuuichikai (Japanese Edition)
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