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    daregashinraidekiruka kagakutekinikangaetemita: series tsunagari-no kagaku 3 (Japanese Edition)

    Por shinichi mitsui

    Sobre

     人類がチンパンジーや他の霊長類と進化的に分岐したのは、約500万年前のアフリカと言われています。当時のアフリカは、大地溝帯が形成され、熱帯雨林気候が後退してサバナ気候が広がり始めていましたが、人類とチンパンジーの共通祖先は密林のジャングルに生息し、樹上生活を送っていました。その中から、少し変わった一団が出現しました。私たちの祖先です。彼らは、熱帯雨林のジャングルを降りて、サバンナの大草原という未知の環境の中を生き抜くことで、現在へとつながる人類の繁栄のきっかけを作ったのです。

     その時に彼らが選択した生存戦略の一つが集団生活でした。人類は、サバンナを生き抜くために集団で生活することを選びました。おそらく、当時の環境では、それを選択することが最も生存する確率が高かったのでしょう。人類は群れを作って獲物を狩ったり、恐ろしい肉食獣から逃れたりしながら、過酷な生存環境を生き抜いてきました。

     こうした集団生活が非常に長く続いた結果、人は何よりも「社会的なつながり」つまり「他者とポジティブな関係性を持つこと」を大事だと考えるようになりました。長い進化の歴史の中で、人の体からは集団を軽視する遺伝子が取り除かれ、集団を大事にする遺伝子が色濃く残ったのです。その結果「社会と強くつながりたい」と考える本性が人の遺伝子に組み込まれてきました。孤独を恐れる心などは、そのもっとも端的な例と言えるでしょう。

     本シリーズは「つながりが持つ力」を科学的に解明していくことを目的として書かれています。第1巻、第2巻では、そうした「つながりが持つ力」のうち「弱いつながり」について話を進めてきました。

     弱いつながりは強いつながりと違い、すぐに切れてしまう弱い人間関係です。しかし、その分エネルギーをかけずに済むため、広く遠くまで関係を広げることができます。その結果、情報の伝達スピードを速めたり、多様性のある色々な意見を取り入れたりすることが可能となるわけです。

     しかし、「弱いつながり」だけが「つながりの力」を体現している訳ではありません。「強いつながり」にも、また別の種類の力があります。本書では「強いつながり」が持つ力について、そのメカニズムを紹介すると共に、それらが人の生活や行動にどの様な影響を与えたかを考えていきたいと思います。

     500万年から、もともと人類は強いつながりを大事にしてきました。それは集団生活を営む上で必要な習性だったからでしょう。長く延々と続いた狩猟時代を経て社会集団化を効率的に発展させるために、人は「強いつながり」を大事にする考え方を身につけてきました。こうした習性がなければ、人類は強固な集団を維持することができず、アフリカのサバンナで他の野生動物との生存競争に負けていたかもしれません。その意味で強いつながりを大切にする心は人類にとって不可欠なものだったと言えそうです。

     しかし、人が「強いつながり」を大切に考える理由はそれだけでしょうか。もし、強いつながり自体に直接的なメリットがなければ、長い年月の間に廃れたと思われます。そうならずに、強いつながりを人類が大事に扱ってきたのは、集団を維持する以外にも強いつながりに何らかのメリットがあったからではないでしょうか。

     そのメリットとは何でしょう。おそらく色々な答えが出てくるかと思いますが、本書で明らかにしたいのは「信頼」になります。信頼こそ強いつながりがなければ決して成立しなかった特性なのです。そう聞かされてもいきなりはピンとこないかもしれませんが、その辺りはこれから少しずつ説明していきますので、ご安心下さい。

     本書では信頼を「相手が裏切らないこと」と定義します。自分も相手も共通の目標があって、双方が協力すれば高い成果を得られる場合が良くあります。しかし、そうした場合に相手が一方的に協力を打ち切れば自分だけが大きな損害を被ったり、そこまでいかなくても目論んでいた成果を手にできなかったりする結果になってしまいます。信頼とは、相手がこうした協力関係を勝手に打ち切ることがないことの確信になります。

     その場合、最も考えなければならないは相手の意思です。信頼関係は自分だけで完結するものではありません。少なくとも自分以外にもう一人が関わってきます。信頼を構築・維持することが難しいのは、相手が自分の思い通りには中々ならないところにあります。

     しかし、信頼や協力関係は決して不可能なことではありません。信頼関係を構築し維持することは誰でも行っていることになります。そうした奇跡をなぜ人類は行うことができるのでしょうか?

     本書では、信頼を呼び起こすカギを「強いつながり」に求めていきます。強いつながりこそが信頼を構築するために必要なものだったのです。

    (「はじめに」より)
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