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    Socialism – An Economic and Sociological Analysis (Japanese Edition)

    Por Ludwig von Mises

    Sobre

    「訳者あとがき」より

    「社会主義」(Socialism: An Economic and Sociological Analysis)はオーストリア学派の経済学者でリバタリアン思想家であるルートヴィヒ・フォン・ミーゼスによる本で、1922年にドイツ語で最初に出版された。ドイツ語の第2版(1932年)が英訳されて1936年に出版されている。1951年にはミーゼスの協力の下で英語版が改訂され、1947年に元々「Planned Chaos」として出版されたエピローグが追加されて新版が出版されている。本邦訳書はこの新版を元にしている。

     ミーゼスの著書は膨大だが、ミーゼスの弟子で新オーストリア学派の経済学者であるマレー・ロスバードは、次の4冊をミーゼスの代表作として挙げている(初版の出版年順)。うち2冊は私の拙い訳ではあるが、本書の出版でようやくミーゼスの代表作を日本語で読む事が出来るようになった。

     1922年: 「社会主義」(本書, 2015年)
     1924年: 「貨幣及び流通手段の理論」(東米雄訳, 実業之日本社, 1949年)
     1949年: 「ヒューマン・アクション」(村田稔雄訳, 春秋者, 1991年)
     1957年: 「理論と歴史」(拙訳, きぬこ書店, 2013年)

     ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のフリードリヒ・ハイエクはミーゼスの「社会主義」を読んで、社会主義を捨てミーゼスを始祖とする新オーストリア学派に転向したというのは有名な話である。ハイエクのベストセラー「隷属への道」(1944年)で、彼は社会主義、共産主義、ファシズム、ナチズムは同じであり、国家の経済への干渉や計画経済が集産主義につながるとして批判している。この考えも元を正せばミーゼスの「社会主義」に辿り着く。ミーゼスはハイエクよりも20年以上先立っているのだ。

     なお、ハイエクは本書について次のように述べている。「社会主義は、我々のより合理的で公正な世界への期待を満たすことを約束した。そしてその時、この本がやって来た。我々の期待は粉々に打ち砕かれた。『社会主義』は我々が間違った方向に進歩を期待していたことを我々に教えた」(Liberty Classics版「社会主義」の序文より)。

     「社会主義」を出版する2年前の1920年に、ミーゼスは「Die Wirtschaftsrechnung im sozialistischen Gemeinwesen」(拙訳「社会主義共和国における経済計算」, きぬこ書店)を出版し、生産手段の私有に基づかない社会主義下では経済計算が不可能な事を論証している。これをきっかけにして、ミーゼスと社会主義者との間で10年にも及ぶ経済計算論争が繰り広げられることになる。しかしミーゼスに言わせると全うな反論は皆無であったという。「社会主義」では対象範囲を経済計算以外にまで広げて社会主義を批判している。なお、ハイエクもまた経済計算論争に「参戦」しているが、ハイエクの場合は計算よりもむしろ知識の問題に重点を置いて社会主義の実行不可能性を論じている。つまり中央当局が計画を立てるにあたり、地域や個人に分散する知識を集めて利用することは不可能だと言っている(ハンス=ヘルマン・ホッペ, 拙訳「私有財産の経済学と倫理学(第一部)」の「8 社会主義: 財産の問題か、あるいは知識の問題か」参照)。参考まで。

     さて「社会主義」は最初にドイツ語で出版されたため、主にドイツ語圏で読まれるだけであった。英訳されたのはドイツ語の第2版で、初版が出てから12年も経ってからであった。英語圏ではミーゼスの社会主義批判は無かったかのような扱いを受けていた。「ミーゼスの社会主義を打ちのめす批判が翻訳された時までに、アメリカの経済学の世界にはポーランドの社会主義者のオスカー・ランゲがミーゼスを『否定』したと伝えられ、社会主義者はミーゼス自身の提案を読むことに悩むことがないままになっていた」(マレー・ロスバード, 拙訳「ミーゼスの本質」(きぬこ書店, 2013年)より)。

     日本における状況は英語圏どころの騒ぎではなく、「社会主義」はこれまで一度も日本語に翻訳されていなかった。初版が出てから93年も経っているのにである。もし本書がもっと早い時期に和訳されて普及していれば、マルクス経済学者は駆逐され、日本の経済学界は様変わりしていたのではないだろうか。

     ソ連が崩壊して20年以上経つ現在、社会主義を批判する本など時代遅れで無意味だと言う人がいる。多くの人がそう思うのは仕方がない事だ。しかし社会主義思想は形を変えて今もなお残っている。例えば福祉国家、累進課税、所得格差是正、完全雇用、国家の自由市場への干渉、国家による各種規制、等々。ミーゼスは国家による管理が増えれば、それは結局のところ完全な社会主義になるという。たとえ善意で、例えば貧しい人を救うために政府に対策を求めることも問題になるのだ(自分の財産を個人的に寄付すればよい)。ミーゼスは本書で社会主義を実現するための破壊主義的手法として以下を挙げている。労働法、強制的な社会保険、労働組合、失業保険、国有化、課税、インフレーション(第五部第二章)。本書で述べられている内容は過去の話ではなく、まさに現在進行形なのだ。

     今でも書店に行くとマルクスの「資本論」やマルクス経済学の本が並んでいる。何も知らない人が古典の名著だと思って読むのだろうけど、とっくの昔にミーゼスが社会主義の実行不可能性を論証している事を知っていれば、読む気も起らないはずだ。マルクス主義の教義は論理的ではなく、事実を無視し、嫉妬心や復讐心を内包したものだ。そう捉えれば今も様々な形で生き残っているマルクス主義者やマルクス主義の影響を受けた人の思考や行動様式が理解できるだろう。

     ミーゼスは本書で、民主主義が自由を守るために必要であり、暴力から個人や財産を守るために国家が必要であるという。無政府状態は大混乱を招く、と。この意見はリバタリアン(自由至上主義者)の多くにとっては不満かもしれない。民主主義ほど国民から財産を奪う制度はかつてなく、選挙制度は多数者が少数者を支配する制度であり、そもそも人気投票にすぎず、政治家は自分の任期の後はどうなろうが責任を取らない。君主制の方がよほどマシである(ハンス=ヘルマン・ホッペ, 拙訳「為さねばならぬ事」, きぬこ書店, 2015年参照)。また、国家が無くても私的な安全保障サービスが出現するので混乱は起こらず、逆に現状の国家による安全保障サービスの独占状態の方が問題である。

     しかしミーゼスが「社会主義」を出版したのはロシア革命が起きてからまだ5年しか経っていない時期である。増大する社会主義の勢力に対峙し、自由と民主主義を守ろうとするだけでも精一杯だったと思われる。この時代にそこまで求めるのは酷というものだろう。むしろそれまで行われた事がなかった社会主義に対する全面的な批判を果敢に行い、論理的に社会主義を叩きのめしたミーゼスの功績を讃えるべきだと思う。

    目次は次の通り。

    新版の序文
    英訳者覚書
    ドイツ語第2版のまえがき
    はじめに
    第一部 自由主義と社会主義
    第一章 所有権
    第二章 社会主義
    第三章 社会秩序と政治構造
    第四章 社会秩序と家族
    第二部 社会主義共同体の経済学
    Ⅰ.孤立した社会主義共同体の経済学
    第一章 経済活動の本質
    第二章 社会主義の下での生産組織
    第三章 所得の分配
    第四章 静止状態の下での社会主義共同体
    第五章 社会主義の下での個人の立場
    第六章 動的状態の下での社会主義
    第七章 社会主義の実現不可能性
    Ⅱ.社会主義共同体の対外関係
    第一章 国家社会主義と世界社会主義
    第二章 社会主義の下での移住の問題
    第三章 社会主義の下での外国貿易
    Ⅲ.特定の形の社会主義と偽りの社会主義
    第一章 特定の形の社会主義
    第二章 偽りの社会主義システム
    第三部 疑わしい社会主義の必然性
    Ⅰ.社会進化
    第一章 社会主義的千年至福説
    第二章 社会
    第三章 社会の進化の要素としての衝突
    第四章 階級利益の衝突と階級闘争
    第五章 歴史の唯物主義的概念
    Ⅱ.社会主義の準備段階としての資本集中と独占の成立
    第一章 問題
    第二章 会社の集中
    第三章 企業の集中
    第四章 財産の集中
    第五章 独占とその効果
    第四部 社会主義と命令的な道徳
    第一章 社会主義と倫理
    第二章 禁欲主義の発散としての社会主義
    第三章 キリスト教と社会主義
    第四章 道徳的な社会主義、特に新しい批判のもの
    第五章 経済民主主義
    第六章 資本主義倫理
    第五部 破壊主義
    第一章 破壊主義者の原動力
    第二章 破壊主義の方法論
    第三章 破壊主義の克服
    結論
    現代の社会主義の歴史的な重要性
    付録
    訳者あとがき
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