古来、本篇の篇首部分、則ち「孫子曰く、凡そ用兵の法」から「死地には則ち戦う」までは、大きな錯簡(さっかん:書物の文章、頁などが乱れていること)があるのではないかとの疑いが持たれ、様々な論議の的となって来ました。本書では、それらの主要な論点をとりあげて解説するとともに、竹簡孫子の観点から、その論拠の一つ一つに明快な反証を加え、古来、「群盲、象を評す」的な解釈に終始してきた篇首部分の体系的かつ整合性のとれた本来のあるべき意味合いを提示しております。
ともあれ、〈前篇 軍争〉と本篇は、弱者の戦法の実践篇と、言わば心術篇の関係にあり、前者が「軍争の難きは、迂を以て直と為し、患いを以て利と為すあり」を曰うものであるのに対し、後者は、その『迂直の計』の根本をなすところの『九変の術』、そのためのノウハウたる「将の脳力開発と情勢判断の方法」を論ずるものです。
言い換えれば、本篇は「将」の個人的資質を論ずる「将帥論」であり、「軍争の難き」を篇名に曰う『九変』の角度から説くものです。その意味においては「軍争の難きは、兵を治めて(作戦指揮に当たり)九変の術(臨機応変・状況即応の機略)を知ることにあり」とも言えます。そのゆえに、〈前篇 軍争〉の結言たる「此れ、変を治むる者なり」は、本篇を論ずるための伏線とも解されます。本書の概要は下記に示す通りです。
【孫子正解】第十回 弱者の戦法「将の脳力開発」心術篇〈第八篇 九変〉 目次
第一章 〈第八篇 九変〉読み下し文
第二章 〈第八篇 九変〉の構成分類
第三章 篇名に曰う「九変」の意味と本篇の趣旨
第四章 「軍争篇末錯簡説」について
第五章 臨機応変・状況即応の機略たる「九変の術」
第一節 地形と地形判断(その対処法・地の利)
第二節 状況判断
第三節 地形判断・状況判断・九変の術との相関関係
第六章 九変の術たる「将の脳力開発と情勢判断の方法」
第一節 脳力開発の三面 ①心の充実 ②思考力の向上 ③知識の拡大発展
第二節 対外戦略としての諸侯の操縦法
第三節 対内戦略としての不敗の態勢づくり
第四節 将の五危論(汝自身を知れ)
sonshiseikaishiriizu daijuukai (Japanese Edition)
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