ここ数年、リーマンショックやギリシャ危機により、世界は厳しい経済状況に直面してきましたが、各国の政府や中央銀行があらゆる手段を講じており、とくにアメリカではFRBがQE3まで実施した結果、住宅価格は上向き失業率も改善しつつあります。しかし所得自体の伸びは鈍く、アメリカでは中間層が没落しています。
この原因は、いったい何なのか?
『機械との競争』の著者であるアンドリュー・マカフィー(MITスローン・スクール)は、「IT革命で潤うのは、トップ1%だけ」と述べ、ホワイトカラーの仕事が減少した原因がIT革命にあると、断言しています。
さらに「IT革命と(従来の)産業革命は真逆である」とも主張していますが、私も同じ考えです。
マカフィーは近未来(2030年頃)の視点から状況を分析しており、すでに弁護士や会計士などの専門職も厳しい状況に置かれていると述べていますが、私はもう少し未来の2050年ごろの状況について考察しています。それは多くの人が一度は夢に描いたことがある、ヒューマノイド・ロボットが登場する社会です。
現在までのところIT革命の影響は、比較的低いスキルの単純労働には及んでいません。しかし第3次産業革命が進行し続けて高度な知能ロボットが登場すれば、彼らがサービス産業にも進出する可能性は十分にあります。
では、その時が来るのは、一体いつなのか?
この疑問に答えるためには、さまざまな技術の歴史を調べて、一つの製品がどれほどのタイムスパンで進化するのか、またアイデアの誕生から実用化までに、どれほどの時間を必要としたのかを知る必要があります。
本書では15の事例研究を行い、その結果、「50年発展説(50年サイクル説)」という仮説にたどり着きました。この仮説は非常に単純であり、なかには適合しない事例もありましたが、もちろん当てはまる事例が数多くあり、これに基づいて2050年ごろまでの技術予測を行いました。
限られた分野しか確認できませんでしたが、主役はヒューマノイドです。
本書の冒頭でも述べていますが、科学技術は新たな製品を生み出すと同時に、効率と質の向上を目指しているので、強烈なデフレ効果をもたらします。この科学技術の性質が、ITをはじめとする新産業革命下にある21世紀の社会に、大きな影響を与えると考えます。
新産業革命は、20世紀の第2次産業革命とは異なる展開を見せ、世界は市場経済を活かしつつも、新たな社会システムを構築する必要に迫られるでしょう。
本書の主な目的は、以上のように今後の技術の発展を予測し、その経済への影響を探ることですが、一つ一つの製品の技術史を語るなかで、発明家の人間模様も描きました。
科学技術がもたらす需給ギャップの問題があるものの、その豊かな成果を享受できるエキサイティングな時代の入り口に、我々は立っているのです。
<著者紹介> 中村和幸(なかむらかずゆき) 科学翻訳家
東京工業大学卒業 専門分野 確率過程論・科学技術史
(翻訳書) 『心は量子で語れるか』 (R・ペンローズ)
『20世紀を動かした五つの大定理』 (J・キャスティ)
『複雑系による科学革命』 (J・キャスティ) 以上 講談社
『マンガ 確率・統計が驚異的によくわかる』 (L・ゴニック)
『コンピュータ・ワンダーランド』 (C・ピックオーバー、共訳)
『数学の悦楽と罠』 (P・ホフマン、共訳)
『勝ち目はあるか』 (M・オーキン) 以上 白楊社
『ベースボールの物理学』 (R・アデア)
『天に梯子を架ける方法』 (J・イングラム) 以上 紀伊国屋書店
nijuuisseiki no gijutu to keizai (Japanese Edition)
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