AD 738 QUIRIGUA vs COPAN (Japanese Edition)

　今日、マヤ文字の解読と発掘が進み、出来事を10年単位で推察できるようになっています。
　コパン都市国家の第13代王は、氏名のマヤ文字を構成する図柄である「数字の18、ウサギ（後にリスと判断し直された）の絵、王権を与えるカウィール神の絵」が考慮され、〔18ウサギ王〕と呼ばれています。同様に、キリグア都市国家の第14代王は〔燃える空の王〕と呼ばれます。その手作業的な呼称には、親近感が湧いてきます。
　この二人の間で起きた戦闘／捕獲／斬首の「738年事件」は、マヤ都市国家間の優越／従属関係を考察する上で、格好の出来事です。勝算はあったのかと〔燃える空の王〕に尋ね、油断していたのではないかと〔18ウサギ王〕に訊いてみました。
　第８章では、実在のガイド２名と著者の架空のパネル・ディスカッションを開催し、「738年事件」に関わった筆頭書記貴族の日記を創作してあります。
　さあ、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、メキシコ、ベリーズへ飛び、ぬかるむ未舗装道路を進み、密林を蛇行する川を上り、1200年間の土が取り除かれたマヤ都市国家群を訪れてみましょう。