mottoshiroh senzai nokoto: yogore shimi toraburu kaiketsunochie (Japanese Edition)

　洗剤のこと、どれだけごぞんじですか。そう聞かれると、長年研究開発にたずさわってきた著者にも確たる返事はできません。しかし、一般消費者の行動を見ると、洗剤をよく使用するわりには、洗剤そのものにあまり関心はないように思われます。それでいて、クリーニング店に出したものについては、汚れが期待したほど落ちていないと、強い不満をぶつけます。
そして、洗剤は安いもの、何かの契約の時にただでもらうものといった感覚があるので、汚れが落ちなくても、またすぐ黒ずんできても、ただでもらうものだから仕方がない、と半ば諦めている人々がほとんどです。確かに洗剤は安価になりすぎて、洗浄効果よりも価格競争が優先されるようになりました。
その原因の一端は消費者にあります。だから、原因を探って改善策を考えるより、洗剤に問題があると気づいたら、少しでも洗剤のことを知ろうとすることが、本質的な改善につながるのではないかと思います。
本書は、そんな一般消費者に少しでも洗剤について理解を深めてもらい、日常生活をゆたかにする一助に役立ててもらえることを願ってまとめたものです。
専門的なことはある程度専門的知識が必要ですが、それは何度も繰り返し読んで問題に対処して行けば、次第に理解できるものです。専門家も初めは素人であったのですから、何も恥ずかしいことはありません。
本書は、第一部、第二部、第三部に分かれています。
　第一部は、石けんをはじめとする洗剤の起源と歴史について。一部消費者の間には、石けんを特別視し、あまりにも過大評価する傾向があって、それが混乱の一原因にもなっているので、石けんは初めての合成洗剤であることをしっかり理解してもらう必要があります。同時に、歴史的なことを知って洗剤に関する教養を培ってもらえるよう、まとめました。
　第二部は、洗剤がどのような成分から構成され、どのような役割をになっているのかを明らかにし、そしてたくさんの名称や言葉が出回ってよくわからなくなっているので、それを理解できるように整理しながら解説しました。
また、汚れと繊維の関係や、洗剤が汚れを落とすメカニズムを理解すれば洗剤を上手に使いこなすことになり、身の回りをきれいにする生活の知恵を身につけることができます。そして、テレビであたかも特異な技術を紹介しているようなしつこい汚れの取り方やしみ取りなどが特殊な技術ではなく、一般消費者も苦労することなくきれいに落とすことができることについても、新しい知見を紹介します。
　第三部は、これまでに寄せられた消費者からの疑問やわからないことの中から136の質問を選んで、答える形で理由と対策を明らかにします。多くの方々が似たような問題につきあたっているのではないかと思います。そうした、実際の問題を知ることにより、洗剤の知識、適切な処置方法など、洗剤を上手に使いこなす方法を理解していただけるよう努めました。
　これまで、多くの人達が自分の経験から一般消費者向けに発した情報誌はいろいろありますが、「何故」という基本的な専門知識を紹介したものはありませんでした。そうした中にあって、本書は「なるほど」と理解を深める一助になるものと思っています。