Jappa Rouka to yobareta onnna (Japanese Edition)

　南ブラジルの平穏な日系植民地でジャッパ・ロウカ（頭のおかしい日本人女性）のあだ名を持つ堀口百恵とその夫が何者かに撃たれて重傷を負う事件が発生した。事件と言えばコソ泥か酔っ払いの喧嘩くらいしか扱かったことのないカルロス署長にとっては初めての大事件だ。いったい誰がやったのか？同じ移住地の日系人か、それとも近くの集落に住むブラジル人か。いや、待てよ。もしかしたら「土地なし農民」と呼ばれる流れ者集団の犯行かも・・・・・・。　警官人生３０年にして初めて事件らしい事件に遭遇したベテラン署長は興奮のあまり武者震いした。
　ミステリーは、人種差別と日本人移住者の道徳観をテーマに、カルロス署長とライバル署長との葛藤、　「土地なし農民」と地元住民の軋轢、六歳になる倉本ルーカスの事件当夜の意外な行動、小型拳銃ベレッタの行方、連邦捜査官や堀口夫婦の孫娘の登場などのエピソードを通じて、真相を追究し、読者を予想もしなかった結末へといざなう。