子どもたちの「理科離れ」が指摘されています。学力や知識の低下だけでありません。身近のことに関心を示したり興味を持ったりしなくなりました。さらには、疑問を解くための理論的な考察を避ける傾向が強くなりました。その結果、観察や実験は面倒くさいもの、理科は理屈っぱくて難しいものとして嫌うようになったようです。
その原因は何でしょうか。私は二つ考えています。
一つは、情報があまりに多く与えられすぎて、身の回りの出来事から体験的に何かを知る喜び、発見する喜びが失われてしまったことです。私が子どもの頃は、知識を持つことは尊敬の対象でした。昆虫に詳しい同級生は「昆虫博士」とあだ名がついていました。今では知識は努力して調べるものではなく手軽に検索するものです。へんに物事に詳しいと「おたく」とか「マニア」とか呼ばれて逆にバカにされてしまいます。知識を蓄積することよりも知識を取捨選択することが大切な時代です。これでは、知る喜びや発見する喜びを得ることはできません。
二つめは、周りの大人たちが早い時期から物事を教えすぎて、自分の頭で考える機会を奪っていることです。例えば、子どもたちは何歳のときに「地球は丸い」ことを知るのでしょうか。小学校に入学する頃にはたいていの子どもたちは、地球が丸くて太陽の周りを回っていることを知っています。「どうしてそう考えるの」と訊いても「そんなの常識だよ」と答えるばかりです。どう見ても太陽が動いているように見える現実を疑問に思うことはありません。太陽が地球の周りを回っているように見えても実はそうではない。そのことを不思議に思って興味を持たなければ理科を好きにはなれません。なぜならば、理科とはなぜ物事がそうなるのかを根本的に考える学問だからです。
そうした子どもたちのために「1000字で読む科学の話」シリーズを出版します。身近なテーマを一つずつ取り上げて科学的に紹介します。詳細に語り尽くさず概要だけに留め、まずは理科に興味をもってもらうことを主眼に置きました。また、中学受験にも対応できるように時事的な要素も取り込みました。今何が問題になっているのか、未来に向けてどのように考えればよいのか。真剣に考えてくれる子どもたちが一人でも増えてくれるならば、筆者としてこれに過ぎる喜びはありません。子どもたちと一緒に大人の方々にもぜひ読んでいただきたいと思います。
1000字とはどの程度の文章かと思われるかもしれません。参考までにこの紹介文が約1000字です。
1000jideyomukagakunohanashi6: ondo tenkiyohou kumamushi (Japanese Edition)
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