22 sai Ikikata wo Sagasu Tabi: Dramatic na Ren-ai Jitsuwa (Japanese Edition)

浪人や留年を経験しなかった場合、普通は22才で大学を卒業することになります。
しかし「大学を卒業して就職した会社で、定年まで勤めつづける」という生き方は、必ずしも普通でなくなりました。
その生き方を選ぼうとするのか、どうするか。その生き方を選ばなかったり選べなかったりした場合、どういう生き方を選ぶのか。悩んでいる人も、多いでしょう。
本書の著者も、その生き方からはみ出してしまった一人です。
本書はそんな著者が自分の生き方を探して試行錯誤した体験談を、物語形式でつづった本です。

主人公は22才の春に大学を卒業して、とある会社に就職しました。
ところが、その会社が労働法規に違反していたのです。
それを見過ごせなかった主人公は、わずかひと月たらずで退職する羽目に。
すでに親の家からは出てしまっていましたし、今さら親に頼っていいとも思えません。
そこで主人公は給油所でアルバイトをしながら、自動車の教習所にかよって運転免許を取得しました。
「大学の卒業時に就職した職場で勤めつづける」という道を外れてしまった以上、運転免許は持っていた方がいいだろうと考えたのです。

実は主人公は大学の四年生だった時、バンドとしてのデビューの話をプロダクションから持ちかけられていました。
その時の話は立ち消えになったのですが、音楽でプロになれるのならばなりたい気はあります。
ただしそのためには、売れそうな曲を自作できるようになるべきでしょう。
しかしなかなかそういう曲が作れないまま、旧友に先を越されてしまう羽目となります。

しかも主人公には、好きな年下の女性がいました。
でもその女性は、主人公の後輩に片思いをしています。
しかしその後輩は、彼女の恋を受け入れるつもりがありません。
その三人で一緒に山へ登ったりはしていたものの、お互いの恋愛感情は三すくみのまま進展が見られなかったのです。

その女性の家の斜め向かいに貸し部屋を見つけた主人公は、その女性に仲介してもらい、その部屋へ引っ越しました。
好きな女性の家の斜め向かいに住むという、まるでラヴコメのような状況になったのです。
しかし定職のない主人公は、彼女の親から白い目で見られてしまいます。
彼女と普通に友人としてつきあい続けるためにも、どうやら身のふり方を何とかしなければならないようなのでした。

そこで主人公がいったい、どうすることにしたのか――
それは自分の生き方の選択で悩んでおられる大勢の読者の皆さんたちにとっても、参考にしていただけるものでしょう。
そして、すでにそのような時期を通りすぎた読者の人たちにとっては、ご自身の若き日々を懐かしくふりかえる契機にしていただけるものと思われます。

また、主人公とヒロインとの後日談は『10年ごしのプロポーズ』や『つぐみへの手紙』に描かれています。
主人公たちの恋の行方が気になる方は、『10年ごしのプロポーズ』や『つぐみへの手紙』も併せてお読みくださいますようにお勧めさせていただきます。