はじめに
ひとつお願いがあります。決して、見えないから無理と決めないでください
目が見えない、ロービジョンで苦労している視覚障害者。私も中途で視覚障害になり、途方に暮れた一人です。周囲にいる人もまた自分自身も、目が見えない事で何ができるのか考えあぐねてしまうというのが、まず最初に立ちはだかる壁でした。
一般に一括りにされがちな障害者という枠ですが、障害の部位が異なれば、得意なことも不得意なことも全く異なってきます。またそのなかでも、同じく一括りにされやすい視覚障害という枠もその症状や見え方は千差万別それぞれです。そんな目の見えなさの異なる視覚障害者ですが、情報アクセス、自力移動、自分に何ができるのかという共通する大きな問題にぶつかるのではないでしょうか。私も、見えていた時から見えなくなるまでの時間の中、経験して来ました。
中途で目が見えなくなり、何もできない、将来に希望が持てないと立ちすくんだ私ですが、同じように一歩前に踏み出せない同胞に、伝えたい。技術の進歩は日進月歩で成長目覚ましく、情報アクセス障害?と思っていた視覚障害者ですが、時代の恩恵を受け、この点については、著しく改善してきています。学びたい、きっと道は開けると信じるならば、大学でITを学び卒業するという選択も道も見えてきたということです。
本が読みにくくなり、字が書きづらくなり、通学通勤にも不安が出てきたころ、必然的に音声でパソコンを操作し、白杖で移動する事を身に着けました。やってみてわかったのですが、パソコン操作はスクリーンリーダーという読み上げソフトで十分対応できるし、何もできないと思って失明への恐怖や不安ばかりだったのが、少しずつできることが増えて、目標が見つかった時点で大きく自分の周りの風景が変わってきました。視覚障害者は、読み書きができなくて、移動が困難と自分自身決めつけていたのですが、実はITやネットワークを使ったインターネット環境との相性がとても良いことが実感できました。”何もできない”から、IT、音声パソコン、ネットワークというキーワードから、オンラインでITを学べるサイバー大学に行きつきました。社会で共生するための武器を持ちたいという気持ちと、何か目標をもって挑戦したいという気持ちから挑戦することに決めました。
なぜIT なぜサイバー大学なのか
サイバー大学はソフトバンク系列のオンライン大学です。一昔前は通信大学といえば、紙のテキストに一部通学が必要で、スクーリングやテスト受験、レポート提出などが特徴でした。現在は、技術の進歩で講義視聴、テスト受験、レポート提出、プレゼンからディベートまで通学なしにオンラインで対応できます。先に視覚障害者はITと相性が良いと述べましたが、まさにこの条件をすべてクリアする大学なのです。もちろんどんなに技術が進んだとしても本来の目的は大学レベルの学びが基本なので、内容がやさしいとか卒業しやすいといった話はありません。ただし自分の受講環境を整えて、学ぶ姿勢を継続する限り、オンライン環境での大学講義の受講単位取得による卒業が視覚障害者でも可能です。
ここでポイントをまとめておきたいと思います。
・視覚障害者でもネットでつながれば、道は開ける
・通勤通学に苦労したり悩んだりする視覚障害者にも、オンラインで問題なし。地方や海外にいても就学可能。
・ネットワーク環境や音声パソコンなどのツールの威力で、単位取得で大学卒業可能。
次項以降で、使ってわかったITの威力をいろいろと紹介したいと思います。
ここまで読んで、いくつか不安も残ったのではないでしょうか?本当にプログラムやITなどの理系科目をオンラインで学んでいけるのか?今までの通信性大学は文系が多かったですよね。理系科目での学士取得が本当に可能なのか?
・自分と同じように途方に暮れて前進できない人
・これから進学して、もっといろいろと学ぶ機会を広げたい人
・身近な視覚障害者にこんな道もあるよと紹介したい人
・理系科目を通学せずにオンライン大学で学ぶのは難しいと諦めていた人
におすすめ。始めなければ何も始まらない。さあ まずは一歩踏み出してみよう。
内容
えっ! 目が見えなくてもできるんですか?
大学でITを学ぼう
いっしょに白杖をふって歩こう!
はじめに
ひとつお願いがあります。決して、見えないから無理と決めないでください
なぜIT なぜサイバー大学なのか
第1章 現状分析からのアプローチ
できない自分の自己分析がスタートライン
わかっている事は何か?わかってない事は何か?
そしてどう考えるか
視覚障害とITは相性がいい
できる事からのアプローチ
できないことからのアプローチ
自分から動かなきゃ誰も代わっちゃくれない
方針が決まれば、やるしかない
方向性は決まった
やれるとこからやってみよう
そしてサイバー大学にいきついた
コラム_Quality of lifeの向上はロービジョン外来から
第2章 オンライン大学の概要
サイバー大学のご紹介
発表! 大学生になれました
あせりをおさえて、フライングゲット!
新1年生、自炊はじめました
でた! 秘密兵器?
ついにきた iPad
いよいよはじまるプログラミング
コラム_自己啓発情報
第3章 実践の実際
視覚障害ならではのIT三種の神器を紹介します。
今ならこれでしょ!アンドロイドタブレット
求む! 専門書読めるよツール
でた!秘密兵器第2弾?
コラム_趣味の世界のWantsとNeeds
第4章 発生! イレギュラーイベント
おいおいこんな時に。パソコンクラッシュ
パソコンは数台 スクリーンリーダーも数種類
猛烈ダッシュ。GW休みと正月休み
アクセシビリティーの重要性を考える
コラム_改めて、今生きる時代を考える
第5章 こんなに身近な学びのテーマ
日常生活の身近な足音
ITリテラシーで身を守ろう
時代は・SNS
生活の利便性向上
身近な日常生活にフォーカスする
冠婚葬祭やあいさつ文の変化
これからすぐにでも現実化しそうなテーマ
学校の教科書はどう変わる
ネット選挙も解禁です
経済の仕組みと企業を考える
コラム 実行へのエール。挑戦する皆さんへ
終章 未来はこんなになっている?
身近な変化 日常生活
世界の変化 環境問題
希望の星iPS
世界をゆるがす環境問題
人間の世界はあるか?
技術革新から共生を学ぶ
コラム 社会は厳しいですが・・・応援くださる皆様
挑戦すれば道がきっと開けると信じる
終わりに
謝辞