某国のブルジョワ階級に属する青年エベネザー・シドニーは、知人のロンクールを通じて偶然知り合った「国籍不明の女」コリーダ・エル=バッソに対して、屈折した愛情を抱いていた。シドニーのもう一つの悩みは、自動車に対する病的な恐怖と嫌悪だった。それはふと立ち寄った映画館のスクリーンからさえ、彼を脅かすのだった。街で彼に偶然会ったロンクールは、カジノのポーカーで連勝している混血児グリニオのことを話し、気晴らしのため見物しに行くことを提案するが……。
帝政ロシア末期から1930年代初頭のソ連で活躍し、ロシア文学史上で特異な位置を占める作家アレクサンドル・グリーン(1880~1932)の、日本でほとんど紹介されていない短編小説の中から、映画や写真を題材にした1910年代の作品3編「稀有な写真機」、「魔法のスクリーン」、「僕はいかにしてスクリーン上で死んだか」と、20年代の代表的作の一つである表題作を所収。
映像化された作品のリスト付。
訳者紹介:西周成。1967年生まれ。映画研究者、翻訳家、映画作家。著書に『タルコフスキーとその時代』、『ロシア版ホームズ完全読解』、『倒されたデーモン』他、ロシア文学の訳著に『灰色の自動車―A.グリーン短編集』(ISBN:978-4-990880538)、『ロシア幻想短編集』(ISBN:978-4-990880552)、『金の時代・銀の時代―ロシア詩選集』(2016年7月、ISBN:978-4-990880569)、『鼠捕り業者―A.グリーン短編集Ⅱ』(2016年8月、ISBN:978-4-990880576)がある。
A Grey Automobile: Selected Short Stories by A Grin Rosia Bungaku Sanpo (Japanese Edition)
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