人類はいったいどこまで行ってしまうのか……?
どんなに奇想天外な未来でも、明日にも起こり得るのではないかと変に納得してしまうことの恐ろしさ。
科学と文明の過剰な発達がもたらすかもしれない様々な「そののちの世界」の出来事を、SFタッチで、ダークなタッチで、またはユーモラスに描いた短編集です。
第九話の本作は、『希望の船』
二十世紀に端を発した人間たちの愚かな行為の連なりは、二十二世紀の人類にある決断を迫らせていた。
"米国が先導し、このプロジェクトを開始してより、すでに十年という歳月が経過していた。今年はいよいよ実際の建設工事が開始されることになっている。その大いなる夢を米国は語り、今日まで世界から莫大な資金を調達してきたのだ。その中でも中国は、巨大なスポンサーの一つであった。
「いいか、ティオセノス・プロジェクトは商売ではない。各国が進んで資金を負担するのは、見返りを期待してではなく、より良い結果を出すためだ」"
"軌道エレベーターを送り出したチェンが、珍しく灰色の雲の隙間からのぞく太陽を見上げていた。金属とカーボンの擦れる重い音を引きずりながら、視線の隅で満杯の貨物機が上昇していった。"
"ずっしりと重い宇宙服が、有重力空間ではホセの心を重くしているようだ。少し歩くだけでも億劫に感じているのが、こちらからでも手に取るように分かる。
「おう、早く出ようぜ」
ホセの姿を見ながら、アルフォンソは親指でクイっとエアロックを指し示した。"
"マーク・ローゼンが両手で力いっぱいレバーをひねると、直径二メートルあまりのチューブ内を深度五十メートルから吸い出された海水が、上空の中継基地まで一気に汲み上げられた"
それは、ティオセノス・プロジェクトと名付けられた地球規模の巨大な計画。
二十二世紀後半、人類共通の大いなる目的に向かい、世界中で何かが動き出していた――。
本編は、長編SF小説『ケプラーズ5213』の前日譚にあたる物語です。巻末には特別付録として、『ケプラーズ5213』の試し読みページがございます。こちらも是非お楽しみください。
すぐに読めて、でもずっとどこかに残ってしまう。ちょっと不思議でほろ苦い読書体験が、あなたを待っている!
最終話の完結編以外は各短編にストーリー上の関連はありませんので、どの回からでもお読みいただけます。
A Ship of Hope the World After (Japanese Edition)
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