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    akario tatsu: kamakurajin aotofuzitsuna (Japanese Edition)

    Por Takemura isao

    Sobre

     青砥藤綱は思うところあって、二十歳を過ぎてから還俗し、鎌倉に出た。時の執権北条時頼の噂を耳にして、自分を生かす何かがあるのではないかと思ったのである。しかし、噂とは違い、鎌倉らの庶民は疲弊し、困窮していた。藤綱は自分の身を顧みず、真言の教えに従い、貧しい人々に施しを続けた。底辺にある庶民が不足のない生活を送れるようになることが、社会の安寧につながると考えたのである。
     ある時、時頼の人となりを知ろうと、臨時の一雑色として三島大社参詣に随行した。時頼に諂い、華美を競う僧侶が多いことに呆れたこともあって、帰途些細なことで騒動を起こしてしまった。ところが、歯に衣着せぬ厳しい言葉をも受け入れる時よりの許容力を見せつけられたばかりでなく、それを契機に二階堂行泰の命で評定所の奉行に抜擢された。そして、いきなり時頼がかかわる評定に立ち会い、そこでも権力者時頼に臆することなく公平な評定を行ったことで、時頼に引き立てられ奉行頭人になった。
     媚へつらうだけの周囲のやっかみは大変なもので、謹厳実直・品行方正・清廉潔白を地で行く言動は、社会においてはかえって中傷の的になり、陰湿な嫌がらせにあう中、少しも迎合することなく時頼の治世を安穏なものにすべく努力を続けた。旧態を護持しようとする連中から足をすくわれるような話を持ちかけられたり、讒訴されたりするが、彼らの何とかして貶めようとする計画には一切のらなかった。
     身なりは質素に、懐に余りあれば貧しい庶民に施しを与え、自信・洪水など天災で疲弊した鎌倉の安定化に努力したことで、庶民は藤綱を「暗闇の中に灯る明りのようだ」と評した。しかし、時頼の第二夫人の乱行が大きな汚点として明るみに出た。別宅が賭け事の巣窟となり、鎌倉の乱れを集約した状況になっていたのだ。藤綱は時頼から直々にその処分を依頼された。藤綱は乱行の噂が広がらないよう処置したが、相手の坊主の行状は収まらなかったため、一気に草庵を夜襲し、よからぬ坊主たちを葬ってしまった。
     そんな自堕落な坊主とは違って、日蓮は時頼に真正面から対峙しようとしたが、そのために鎌倉では諍いが生じるようになったので、日蓮を伊豆に流した。一方、藤綱は律宗を広げるために六浦で救済活動をしている忍性に会い、その活動に参加した。時頼も忍性には興味を持っていたが、熱心に帰依する執権長時に遠慮して、自らは大和にいた忍性の師叡尊の招聘を提案した。叡尊は鎌倉の熱意に負けて半年ほど鎌倉に出てきたが、忍性の活動の邪魔になってはいけないと判断して、再び大和に帰ってしまった。
     その後、時頼は体調を崩し、遂に逝去してしまった。それを機に藤綱は阻害され、鎌倉は己を必要としなくなったことを悟って静かに身を引いた。藤綱はどこえ行ったのか、誰にも所在はわからなかった。
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