Ametuti ni noru syohanbon densi hukkoku (Japanese Edition)

昭和17年9月、日本評論社より発行された釈迢空（折口信夫）の詩歌集『天地に宣る』初版本を電子書籍化したものです。なるべく原本を忠実に再現することを目指し、函や表紙、扉などは画像として収めてあります。本文はリフロー型の電子テキストですので、語彙検索や文字サイズの拡大縮小、メモ機能・辞書機能などがご利用になれます。現代の読者の便をはかり、漢字は現在通用の字体に改めました。

『天地に宣る』は著者自ら「戦争歌集」と称した集（「追ひ書き」）。昭和16年12月8日、開戦の詔勅に対する感激のうちに即吟した連作に始まり、満洲建国十周年を祝う歌、シンガポール陥落に感奮する歌、戦死者を悼む歌などを収めています。「私どもは恥しながら、今まで、憂国の士のやうな、美しい詞を吐くをりを逸して居た。…老いに近づいたこの年になつて、尚、国土や、軍団に対して、かくの如く愛と、念慮とを懸けて居たことを知ることが出来た。…心は、虚しく消えようとして居たのではないことを覚えて、さすがに、さしぐむほどの歓びを感じる」（「追ひ書き」）。

巻末には詩三編からなる「古代諷詠集」を附載。琉球王国の歴史に題材を取った傑作長編詩「月しろの旗」などを収めます。

一部『遠やまびこ』『倭をぐな』『古代感愛集』などと重複する作があるため、新旧の全集には完全な形で収録されていない集です。