Arigatou No Management: Shijoushakai No Kyoudou Genri (Japanese Edition)

市場社会は、買い手の意思や感情に左右され、売り手の生活は何ら保障されていません。わたしたちは皆、とても脆い足場の上で暮らしているわけです。そんな理不尽さを抱え、思い通りにならない社会ですが、それでも私たちは「努力はいつか報われる」という信念に基づいて仕事をせざるを得ません。何か行動しなければ、事態の打開は図れないからです。

本書が明らかにしたいテーマは、努力と成果が必ずしもリンクしないビジネスにおいて、いかに意欲を高めて仕事をすることができるかということです。市場という不安定な社会の中で、チームとして共に働く上で踏まえるべき原理とはどのようなものかを考えます。より具体的に言えば、メンバー一人ひとりの「賢明な努力」がいかにしてもたらされるか、です。賢明な努力とは、成果が出るかどうかは分からないが、その時点では合理的と思われる努力のことです。期待した成果が出るかどうかは別の問題です。結局のところ、成果が出るまでやり続けるしかないからです。

本書は、会社の中でチームを預かっているマネジャー、および将来のマネジャー候補者に、マネジメントの基本的な考え方を知っていただくことを狙いとしています。議論を進める中で、「賢明な努力」に対し、組織内の立場を超えた仲間として「ありがとう」と言い合えるようになることが、あるべきマネジメントの象徴的な姿であることを示します。立場を超えて、ある目的に向かう同志として互いの役割を全うする姿です。皆様の仕事ができるだけ楽しくなるような、よりよいチームづくりの参考としていただければ幸いです。