―― これは、ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンを主人公にした第九を描く思想である。
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演奏する曲を聴く前に、作曲したものについて言葉で説明を聞こうとするものがいる。どのような考えを持って作曲したのか、何を思ってあらわしたのか、その動機、対象、関係など……はっきり述べるとそのような説明な余計なことである。なぜなら、どのような曲なのかをまず演奏で知る前に、言葉で知るものでないからだ。曲への思いについて、何を伝えたいかについて、どう感じてほしいかについて、それはたとえ語られるべきものであっても事前に行なうものではない、私はそう考える。
もし演奏前に、まだ曲を知らないものに語ってしまえば、作曲をするための私の目的は果たすことができなくなる。だから皆の衆よ、演奏をする前に言葉で知るのではなく、まずは聴いて曲を知ってほしいと望む。――
(冒頭から抜粋)
ベートーヴェンを主人公にした思想小説です。
ベートーヴェン第九の曲を聴いて描く独自の思想を文に込め、実際に作曲することから、芸術やそのほか自分の意見を伝えること、話をすること、ほかにも何かするには必ず「表現」が含まれることをあらわします。
耳が聞こえなくなっても音楽家として活動し続けたベートーヴェンの精神から学ぶことができる想像世界は、死と生の間を行き来していたのではと感じられます。
ベートーヴェンは聴力を失いながらも、音楽家の道を選び、独自の世界を曲としてあらわした偉大な存在です。
「耳」ではなく、「想像」の中の世界から音楽を表現していったのです。
その思想からあらわる曲の形は、握りこぶしを作るような粗削りな、だけど優しさ悲しみもあり、強い男性をあらわす心打たれるものです。
9曲という少ない曲数でありながらも、いまだ多くの人に愛される存在であり、女性である私がベートーヴェンの思想を曲から感じ取りながら、私独自の思想を展開していくのは大きな精神力を必要としました。
そして、言葉にあらわすことで、これは自分だけでなく多くの人にも必要とする「生きる言葉」が詰まっていることに気づきました。
ベートーヴェンの生き方そのものには、知るだけでも人々に生きることでの影響力がある存在を常に感じながら、今でも書き綴っており、私は本当に思想を表現することに意味を感じることができています。(「あとがき」より)
ベートーヴェンの想像世界ともう1つ、「愛の詩歌」という失恋から描いた短編思想小説も載せています。
be-to-vennosouzousekai (Japanese Edition)
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