一乗音界図は、音楽作品ではあるが、同時にウィパッサナー瞑想と一乗法界図を取り入れた音楽心理療法でもある。
様々なバージョンが存在するが、本書では「聴衆のための心理療法」および「演奏家のための心理療法」の2作品について述べている。
ウィパッサナー瞑想は心や身体に生じた現象を言語化し、言葉でラべリングし実況中継することで、自己を観察し客体化していく。
その場合、言葉のシニフィアン(意味するのも:書き言葉なら文字、話し言葉なら音声)とシニフィエ(意味されるもの:概念)の関係を固定するのではなく、唯単にシニフィアンとして発するのである。
それによって、「見ている自分」と、「見られている自分」とが客体化され、生じているものと、滅しているものに気づいていく。「見ている時には、見ている」「聴いている時には聴いている」と言うように、たとえば動画は動いているように見えても、実際は一つ一つの静止画が連続することで成り立っているように、その一つ一つに「気づく」のである。
言語によって、心を対象化することによって、自己と同一化している感情や思考との距離をとる。それはまた「無常」に気づくことでもある。
また、一乗音界図は、一筆書きの図形を用いることで、ゲシュタルト(全体性を持ったまとまりのある構造)の性格も持つ。
「人ごみの雑踏の中で歩いている時、ある一人だけを見ていると、他の人にぶつかってしまう」ように、自己の客体化は全体と部分がともに意識され、バランスが取れてこそ成り立つのである。
ISBN:978-4-906858-04-0
Buddhism and Music therapy:observing ekayana music picture (Japanese Edition)
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