料理上手で知られた故・伊藤一視。彼女が娘・姪たちに向けて送った和綴じの私家本を電子書籍に起こしました。
単なるレシピ本にとどまらず、主婦としての心得や料理にまつわるエピソードがおりまぜられたエッセイとしてもお楽しみいただけます。
初出は昭和五十六年。どこか懐かしく、とはいえけして色褪せない暖かな台所の情景。
この「台所おぼえ書」を近所の人や職場の人に見せたところ、我も我もと欲しがられたそうです。
あなたのお手元にもぜひ一冊お取り置きください。
「生きている限りつづく三度々々の食事づくり、女にとって何と大変な仕事でしょう。でも「食べる」ということは、殊においしいものを食べるということは、人間にとって確実な幸せのひとつです。心あたたかくかしこい”食事“を家庭の中心にすえて、家族の健康を守る主婦の仕事をそこから着実に広げてゆかれますように。」-序文より
以下内容より一部抜粋
「◆栗
秋の味覚の王者、まつたけは手が届かないから。八百屋の店先きに粒の揃った光ったのをみるとワクワクしてしまう。
栗ごはん
湯谷から早生の初栗をもらうと、少しでもていねいにむいて、まづ栗ごはんをたく。一粒一粒大事にむく。うす目の塩かげんで、そして仏さまにあげる。季節に先がけて初ものを食べるのはほんとに心が豊かになる。よくよくの食いしん坊なのだなーと思う。栗が少いときは、しいたけやうすあげを入れた桜めしに、うす口正油を少しおとしてたくが、やっぱりアクが出るけど、塩味の栗ごはんがよい。あー今年も生きていたなーと思う。」
「たんぽぽ
あまり強い陽ざしにさらされてないものを、やわらかそうなのをえらんでつむ。やわらかくゆでて一日位水にさらしておく。ごまあえにしたり、いためたり煮びたしにしたり。たくさんあるときはかつを節をたっぷり入れみりんとお正油でいりつけるように、佃煮風に仕上げる。バターいためにしてお肉のつけ合せにもよい。たんぽぽたべてるんだ!と思うだけでたのしい。」
「おこのみやき
やさいをたべないやつらに絶好!それこそ、何でもいいのダ!キャベツ、人参、ピーマン、葱、なんでも細ーく細かく切る。イカ、肉(ヒキ肉でも)、チリメン、アゲ玉、紅生がどれでもと合せて、メリケンコに玉子入れたり、スキムミルク入れたり。片面にカツオブシの粉、青のりをかけてひっくりかえし、トンカツソースをぬる。アツアツをホラホラホラとたべさせる。何が入ってるか分らなくてもウマくって、フウフウムシャムシャおかわりするんだから。ザマーミロ!」
「紅茶
いろいろなお茶をたのしみたい。レモンの輪切りうかせたの。ジャムのいちごがしづんでて、ブランデーかウイスキーが少し。
夜おそく仕事につかれたときさとうも何も入れずこいく出した紅茶をそのままあったかいカップを両手にはさみ一人でゆっくりのむのもよい。九時頃から台所がゴトゴトしてるナと思うとプーンと香しく天火でやける香りしばらくすると障子がソッとあいてお盆に紅茶とお菓子の皿。クッキーだったりバウンドケーキだったり。夜中近く仕事にあきた頃熱いお茶とやきたてのおいしいおかしをたべるとき〝これも生きていることの幸せの一つだなァ〟としんから思う。」
DAIDOKORO OBOEGAKI (Japanese Edition)
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