二人の子供がまだ小さかった頃、わが家もご多分にも漏れず、寝る前に絵本等を読んでと、よくせがまれた。リクエストに応えて何度か読んで聞かせたのだが、いかんせん朗読がイマイチ上手くなかったので、途中で投げ出してしまった。奇麗に言えば、どんな名作も、文章に縛られてる感じがすきではなかったのだ。
そのかわり、即興で自由にお話を作って聞かせるようにした。結果的にこのほうが性にあっていたらしく、二人の反応を楽しみながら、適当に話しを紡いでいった。そしてこちらのほうは、結構長く続いたような気がする。最初は稚拙な内容だったが、やはり子供に受ける為には、こちらとしても工夫をせざるをえず、結果、いろんな物語を生み出していった。
一つには二人の名前をもじった主人公にしたのが良かったようで、時に笑い、時に涙を流しながら、子供達はお話をどんどん吸収していった気がする。今思えば、この寝る前の十分間こそが、魅惑の時だったのかもしれない。銀行のATMはお金を引き出せるが、このATM(attractive ten minutes)は、子供達の想像力というお宝を引き出せたのではと、親ばかだが少し自負している。そして何より、お話して聞かせた自分自身が、一番楽しかったのだと思う。
多くのお話は、一夜限りで消えていって、まったくわすれさられたのだったが、ある日パソコンの中身を整理していたら、いくつかのお話をまとめたファイルに出くわした。少し読んでみたら、いまだに面白い(ほんとに能天気です)ので、厚かましくも電子ブックにしてみようと思ったのだ。誰も興味がないかもしれないが、もしかしたら誰か、ひょっとして孫達が読んでくれるかもしれない――こんな淡い気持ちで編んでみました。
二人の子は成人式を過ぎ、一人で育ったような顔をしている。それはそれで可愛いものだ。溢れんばかりの(時には溢れすぎた?)愛情の印を、どうぞ受け取りたまえ。
目次
はじめに
おみごと、シュンちゃん!
キピーちゃんの入学式
シュンキーの大冒険 その一(山田養蜂場主催 第一回ミツバチの童話と絵本のコンクール、努力賞)
ママのケーキパン
キピーちゃんのピクニック
シュンキーの大冒険 その二
キピーちゃんの遊園地
見習いサンタの贈り物
シュンキーの大冒険 その三
キピーちゃんのマラソン大会
不思議な木の実
シュンキーの大冒険 その四
キピーちゃんの宅急便
酒のみ鬼
シャーサのお水
魔法の石鹸
時を越えて
DOWASENSHU (Japanese Edition)
Sobre
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