edohyaku jyoukan: usennoedohyaku (Japanese Edition)

知れば知るほど「江戸マニア」！

雨洗の「江戸百」は、単なる懐古スタイルの「名所江戸百景」の解説ではない。
希代の風景浮世絵師・歌川広重が、安政江戸地震（1855）の直後たった三年間で描きまくった当時の江戸名所を、絵師広重と共に、添付の古地図上で訪ね、〝エっ！ここが？〟と、変わり果ててしまった現代の「江戸・東京」と見くらべて楽しむことができる。
さらに、それぞれの絵の解説文には、日本語学習にも役立つよう漢字の全てに読みがなをつけ、オックスフォード・スタイルの洒落た英訳も併記されている。
丹念に研究されたであろう、その解説内容は、広重の遺作でもある１１８枚（上・下巻合わせて）の力作を制作過程順に追いかけており、江戸風景版画として出版されるまでの版元と絵師の思惑などを推測しながら、木版画業界の裏事情なども垣間みられる。