(趣旨より)
アングロサクソン流のグローバル市場の拡大、創知情報化時代に、ある意味では、過剰適応した企業、21世紀型企業の先駆として登場したエンロンという企業の興亡とコーポレートガバナンス上の失敗の経緯を明らかにしたい。エンロンの経営者もザカーバーグのような21世紀型企業の経営者として登場できたかも知れない。だが、エンロンの場合、そのビジネスモデルを激しく変化させなければ次の展開ができなかったのであり、 その点で広告モデルなど安定収入のある21世紀企業と一線を画していたように思われる。
その実体を当事者たちが見失ってしまったエンロンとはどんな企業だったのか。そこでは始まったばかりの創知情報化時代の会計、「創異の会計」の完成度が問題になろう。たとえば、創知情報化時代にはR&D投資が重要になろうが、工業化時代の設備投資と減価償却といった確立された会計手法は導入されていない。
エンロンのビジネスモデルは規制緩和を利用し、モノの取引を金融取引に転換する、つまりフィナンシャリゼーションを自ら推進するようなものだった。エンロン後では、創知に挑戦するよりも、裁定利益を追いかけるフィナンシャリゼーションを優先させる動きが加速された可能性がある。そうした中でおこったのがリーマンショックだ。現在から振り返れば、エンロン事件がリーマンショックの小さな先行モデルであったことの意義についても触れなくてはならないだろう。なぜなら、エンロン事件の結果として導入されたSOX法も、厳しい監督下におかれたはずの監査法人もリーマンショックを招くこととなり、事件の予見はおろか、事件を回避する手段にもなっていなかったからである。
ENLON jiken saihou shakai gakushara ga mita corporate governance ron (Japanese Edition)
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