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    EYES OF THE FOREST: The Adventure with Sri Lankan Mahout in the civil war (Steinbach Novels) (Japanese Edition)

    Por Masakazu Ishikawa

    Sobre

    これは小説なのかノンフィクションなのか!?
    スリランカで26年間にわたって繰り広げられた内戦は、2009年にようやく終結したが、本書はその内戦下でスリランカの象使いを取材したジャーナリストが実体験を織り交ぜて書き綴ったリアルな小説である。確かに小説ではあるが、ここには多くの驚くべき事実が描かれている。
    衝撃的な知られざる内戦と象と人間のスリリングな物語。

    本文より:
    「ミスターシガ、スリランカに来て紅茶を飲まない日本人を初めて見たよ」
    「ごめん。紅茶は大好きさ。でも、地方に行けば紅茶ばかりかと思ってね」
    「いや、謝る必要はない。君の行動は時々僕を驚かせる。それは新鮮なことなんだ」とウパーリはニヤリと笑った。「スリランカは、事実、インドに次ぐ紅茶生産国さ。工業製品や農産物などの全輸出出荷額の過半を占めるのがお茶だよ。でもね、この島で一番先に栽培したのは、紅茶じゃなくて、コーヒーだったんだよ」
    「えっ、なんだって? コーヒーの方が先だって? 今は紅茶の国になっているじゃないか」
    「歴史的にはコーヒー栽培の方が古いんだ。十八世紀初頭には、オランダがセイロン島のネゴンボやガルでコーヒー栽培を始めた。大英帝国も、植民地としたセイロンでまず栽培したのは、コーヒーだったんだよ。茶やゴムは、コーヒーのあとさ」
    「それじゃ、なんで、今、コーヒーじゃなくて、お茶なのかい」
    「かつてセイロンでは、コーヒーは、象牙・胡椒・シナモン・カルナバ椰子のワックスと並んで五大輸出品だった。しかし、一八七〇年代に害虫の蔓延で、コーヒー園は壊滅的被害を受けたんだよ。その虫害の後、コーヒー農園は茶園へと変えられていったんだ」
    「そうだったのか」
    「恵実理はまだ来ないのかい」ウパーリは周囲を見回しながら言った。
    「恵実理はどうせ寝坊だろ。昨晩はよく飲んでいたからね」
    「二日酔いには、キトゥル・トリークルが効く」ウパーリが言った。
    「キトゥル・トリークル?」
    「うん、君が今食べているフレンチトーストにかけた蜜さ」
    「このフレンチトーストはうまい。というよりも、確かに、これにかけた蜜がうまい。これ、やっぱり椰子の花の蜜なのか」
    「ああ、それがキトゥル・トリークルさ。最高だろ。さっぱりとしてるのに濃厚で、素晴らしい風味が立つ」
    「ウパーリ、君がこのすばらしいホテルを僕たちに紹介してくれたおかげで、昨夜は波の音を聞きながらよく眠れたし、英国統治時代の雰囲気が残る優雅な空気にひたることもできた」と言って志賀は微笑んだ。「ホテルを変わるのは最初は面倒くさいと思ったけれども、ここに来て本当によかったよ」
    「恵実理も一目でぞっこんだったからね、このクラシックなホテルに」ウパーリは思い出すように笑った。「君たちふたりはよく気が合うね。それにふたりとも、理論や常識より自分の直観を重視するタイプの人間らしい」
     突然、白いテーブルクロスの上に置いてあったウパーリの携帯電話のベルが鳴った。
     
     7   現場
     ホテルでベルキャプテンに呼んでもらったタクシーの運転手は、中心部で起きた爆弾テロのことをまだ知らなかった。しかし、マウントラヴィニア地区からゴールロードを北に十分ほど走ると、路上に何台も止まった緑色の軍用トラックが見え始めた。オリーブドラブ色の制服を着た多数の警察官や自動小銃を手に警戒する迷彩服の兵士がいたるところにいた。救急車がサイレンを鳴らして逆の方向に走り去り、異常にものものしい様子を見ると運転手はまったく落ち着かないそぶりを見せるようになった。海沿いのマリン・ドライブに入るところでチェック・ポイントが設けられており、そこで志賀たちのタクシーは、自動小銃を抱えた兵士に止められた。兵士は自動小銃の先を車の前の方に突き出すようにして、「ここから先は駄目だ」というそぶりを見せたが、志賀はノブを回して窓ガラスを開けると、「ルパヴァヒニ(国営放送)!」と大声で言いながら、紐のついたプレスカードをカメラマン・ジャケットのポケットから出して見せた。別に嘘を言っているわけではなかった。放送協力協定のもとに、ルパヴァヒニのプロデューサーであるウパーリと一緒に取材していたからだ。見せたカードは今回の取材のためのプレスカードではなく、東京写真記者協会のプレスカードだった。もう一人の兵士がタクシーのトランクの中を見て三脚以外の何も無いことを確認すると、自動小銃を持った兵士は顎を横にしゃくって「行ってよい」というしぐさをした。
      

    <***** 本書は第1回ランダムハウス講談社新人賞1次選考通過作『震える森』を大幅に加筆修正した小説である。12万5千字、四百字詰め原稿用紙換算313枚の長編だが、その内容はスリリングなアドベンチャーで読む者を片時も飽きさせないであろう。 >

     
     
    著者略歴  
     早稲田大大学院商学研究科博士後期課程中退。MBA。日本放送協会で、アフガニスタン内戦、カシミール内戦、湾岸戦争、スリランカの象使いなどを取材。国際協力機構専門家・アジア太平洋放送開発機構講師を歴任。アジア各国の放送局のジャーナリストを育成指導。
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