僕は無名の芸人。だが、今日のお笑いオーディションで合格することができたなら、有名になるチャンスが与えられるのだ。
僕が会場入りすると、目の前の客席に5人の客が横一列に並んで座っていた。少ないなと思いながら、舞台の中央へと移動する。
客は右からOL風の若い女性、スーツ姿のおじさん、頭が禿げ上がった爺ちゃん、メガネをかけた大学生風の青年、野球帽をかぶった小学1年生ぐらいの男の子だ。全員が何やら数字の書かれた札をいくつか両手に持っている。どうやら客が君を審査するシステムのようだ。年齢がバラバラで、迂闊なギャグは言えないぞ。しかも、女性と子供がいるのも注意しなければならないだろう。どの客も、今から何が始まるのかと期待に胸を膨らませている様子だ。特に若い女性が。いかん、こんな時にどこを見ているのだ僕は。
客席から離れた後方の席では、茶色いスーツに身を包んだ芸人プロダクションの社長が腕組みをしながら厳しい顔をして座っている。社長は僕と目が合うと、手を上げてお笑いオーディション開始の合図をする。
さあ、僕が今まで書き溜めていた「ゲイニンムブック」のネタを披露する時がついに来たのだ! これは芸人と客との熾烈な戦いになるだろう。
オリジナルなギャグを炸裂させよう! 僕は舞台中央のマイクの前に立つ。
「どうも~、無名の芸人でーす。僕が今まで書き溜めていたネタをこれから披露します。では、始めます」
「メルセデス・ベンツデス」
僕はミニカーで遊ぶ仕草をする。
41パラグラフkindleゲームブック「ゲイニンムブック」の小説版です。文章量少なめで、約40ページ。加筆してありますので面白さはアップしているかと思います。
ネタのみの「笑いのギャグ」もあります。
geininmubukku (Japanese Edition)
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