《たましいというものについては諸説があるかと思いますが、とある話によりますと、それには重さがあるということです。もちろん、重さがあるものが存在するかと言ったら、それは別様の話となるかと存じます。知能があふれるから海豚を食べてはいけないのでしょうか。花や艸《くさ》の行動原理ははたして知性を欠いたものでしょうか。少なくとも魚は毛鉤を垂らせば食らいつきます。下剋上をくわだてる将校のように釣り上げられたら上昇し、ばたばたと身を捩りながら抵抗します。抑々それははたしてたましいの領分でしょうか。心身のあいだにそれらを統率する境い目があるとするならば、その境い目は心と身のどちらに属するのでしょうか。わたくしどもが釣り上げるものは、もしもわたくしどもに意志というものがあるのなら、まさにその曖昧さであると言えましょう。存在するのかわからないものほど、妙なるものはございませんから。
ヤア、今日も魚籠がいっぱいになったぞ。ヤア、ヤア、ヤア。》(本文より)
GENG-DANG2015 (Japanese Edition)
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