・・・本文より
柊二はもがいていた。かつて輝いていた時代。あの頃に戻りたいと願っていた。そうはいかないまでも、普通に家庭を持ちたかった。それが今となってはかなりハードルの高い状況であることも承知している。一方で、ここまでくれば自分の信念を曲げてまで生きる必要はないかとも思えるのだ。かつて学校でエースと呼ばれた男は、出口の見えないトンネルを這いつくばりながら進んでいた。
小学校のときから運動音痴で体育は5段階の3。2を取ったこともある。だから馬鹿にした奴らを見返すために勉強に励んだ。おかげで5教科は常にトップクラス。私立高校受験では受験者中3番を取ったことだってある。中学の最後の通知表はちょっとズルしたけどオール5だった。既に部活で標準体重だった高校時代は、それなりのルックスだったこともあってモテた。
大学だって、帝都大学ではないけれど、旧第七帝都大学である南都大学に現役で合格した。国立大学へ行って、親孝行だってしてきた。それがどこからだろう、歯車が狂ったのは・・・そう、大学のあのときからだ。
Hakuai no Chouryuu (Japanese Edition)
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