平成二十年の七月十七日から九月二十九日にかけて、東京、横浜市、伊東市、名古屋市、京都市、大阪市で四十七歳のその地の名士の男性が殺害される事件が起こった。六人はいずれも八王子にあるフランス語の学院からの帰り道で犯人に遭遇して殺害されていた。殺害の手口は同じで連続殺人事件と断定されて広域捜査本部が組織され警察庁から広域捜査官が派遣された。六人の被害者の遺体には不可解な細工が施されていた。そして一番目の被害者から四番目の被害者までの自宅から一枚の古びた女性の写真が見付かった。犯人像も動機も分からないままに捜査は難航した。広域捜査官の葉影警視はその写真に写った女性が事件の動機に繋がると踏んで、その女性の写真を公開してその写真に写った美女の正体を知ろうとした。
物語は昭和五十八年に遡る。当時輪島市の中学三年生の杉村哲也は年上の女性の名取絹子に恋心を抱いた。しかし絹子はその地の旧家の稲宮家の御曹司に嫁ぐことになった。
その年の昭和五十八年の六月二十五日から二十九日に掛けて金沢市で法学の学会があった。日本の各地の大学から十二人の四回生が学会の特別プログラムとして実施された陪審員制度の模擬裁判の実習に参加した。大阪市の浪速都大学の法学部から参加した相沢翔子もその一人であった。六人は美しい翔子を見て彼女を襲おうと思った。そして学会が終わったあとで学生の一人の宮坂が翔子に近付いて写真の被写体になってくれるように依頼した。翔子は了解して宮坂は翔子を近くの公園に連れていって写真を撮った。その後で宮坂は翔子を五人が待つ神社に連れてゆこうとした。それを察知した翔子は宮坂に輪島市に行けば料亭の娘で翔子と同じ年の名取絹子という美女がいると言った。そしてその絹子は七月二日に輪島市の旧家の御曹司の二十八才の稲宮菊蔵と結婚式を挙げると告げた。翔子がそのようなけしかけをしたのは、翔子は菊蔵の前の恋人であり、菊蔵は翔子から絹子に乗り換えたことへの意趣返しであった。
六人は翔子の話が本当かどうかを確認するために学会が終わると二台の車に分乗して輪島市に行った。そして一人が絹子を家から呼び出して宮坂が彼女の姿を写真に撮った。そして絹子の美しさに蠱惑された六人は絹子を襲おうとして絹子の結婚式の夜に稲宮家に侵入した。そして婿を麻酔剤で眠らせてから仮面を付けて寝室に押し入った。入って来た六人を見た絹子は恐怖のあまりにそこにあった日本刀で自害した。
隣室からその様子を見ていた哲也は六人に復讐を誓った。そして哲也は六人が旅行者だと思い六人が泊まった旅館を探して回った。そして六人が千彩波旅館に泊まっていたことを突き止めると旅館の娘の同級生に依頼して宿泊者のリストを持ち出せて六人の氏名を知った。憧憬していた絹子が非業の死を遂げて落胆した哲也は輪島市を去って八王子市に住む母の従姉のところへ行ってそこから高校と大学に通った。大学四回生のとき、哲也は売りに出されていたマンションを一棟ごと買ってフランス語の会話の教室を経営しようと思い立った。そして母の再婚先の義父から資金を提供て貰ってそのマンションを手に入れてフランス語の教室の経営に乗り出した。
そのときから二十四年が経った平成十九年になってそのうちの一人の男がテレビに出てきたのを知った。その男の氏名が宿泊リストにあったことと年齢からその男が六人のうちの一人だと確信した。そこで哲也はその男に手紙を書いて残りの五人の当時の大学名を聞き出した。そして哲也はそれぞれの大学の法学部に行ってその男を含む六人の現在の職業と住所を探り当てた。
そして平成二十年の七月十五日から哲也の六人に対する復讐が始まった。広域捜査官の葉影警視は連続殺人事件の動機が分からなくて当初は異常者の無差別殺人であるとの見方が大勢を占めた。
五人目の被害者の宮坂の自宅から一枚の女性の写真が出て来た。そして六人目の被害者の自宅からさらに一枚の古びた写真が発見されるに及んで捜査は進展を見せた。その写真は十二人が並んで写っている記念写真であった。裏には昭和五十八年六月二十九日日本桜刑事法律理論研究所主催第三回陪審員制度模擬裁判実習会と印刷されていた。警視庁本部の松宮警部と大阪府警本部の岡崎警部は東京にある日本桜刑事法律理論研究所に出向いた。そして当時を知る総務部長から写真に写った十二人は昭和五十八年の六月二十五日から二十九日に亘って実施された学会の特別プログラムとして実施された陪審員制度の模擬裁判の実習に参加した各地の大学から集まった四回生の学生達であることを知った。その陪審員役を受け持った十二人の学生達の中の六人の男子学生が二十五年を経て起こった一連の事件の被害者であった。その十二人のうちに宮坂の自宅から出て来た写真の女性は写っていた。そしてその女性が相沢翔子という名前であることが分かった。そして松宮と岡崎は殺人の動機は六人がその学会に参加していた期間に生じたことにあると推理理した。そして二人はその動機に繋がることを知っていそうな相沢翔子の郷里の輪島市に行き、そこで中学の教師になっていた翔子に会った。そして松宮達は名取絹子の死の真相を知ることになった。今はフランス語の学院の院長になっている杉村哲也が捜査圏内に浮上した。しかし松宮達は哲也に六人への動機があることがどうしても立証できなかった。そこで松宮の発案で神田に事務所を構える私立探偵の夏木京介の意見を聞くことになった。
夏木京介は被害者の遺体に施されていた細工の謎を解いて哲也に犯行の動機があることを立証した。そして夏木と葉影と松宮と岡崎と玉井は杉村哲也が院長を務めるフランス語の学院に遣って来た。
石川県警の玉井警部は昭和五十一年と五十七年に起こっていた三人の有閑夫人の殺人事件の捜査を担当していた。その捜査の過程で稲宮菊蔵が登場していた。そして物語はそこで驚くべきどんでん返しの結末を迎える。
HANGESHO NO HANAYOME (Japanese Edition)
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