(著者概要)
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産大学校 海洋機械工学科教授。主に環境エネルギーシステムなどの数理モデルや人工生命のモデルなどを研究しています。
(本書の概要)
「知性」とよばれるものは、人間の脳みそ以外にも数多くある。植物にだって知性がある。例えば、野菜のトマトは虫に襲われると、化学物質を放出して周囲の仲間に危険を知らせる。植物はいくつもの感覚を持っていて、外界の状況に応じて巧みな対応ができるシステムを持っている。粘菌は迷路の最短経路を解くことができる。
蟻の群れによる群知能は有名である。アリは、個々の個体は高度な知能を持たないが、役割分担がなされた社会システムを構築することができる。これらの「知性」は決して人間のような高度な知能ではない。いわば「低能」であるが、これらが複雑にネットワーク化され、相互依存することで、生態系が恒常的に維持される状態を生み出している。
このような群知能を模して、「人工「低」能のネットワークによる知的制御システム」のようなものはつくれないだろうか。あるいは「分散型人工知能」と呼んでもいいかもしれない。ひとつひとつは高度な知能をもたず、高度な知的処理、言語処理はできないが、これらが群れやネットワークを構成することにより、知的な組織体を構成し、社会の活動を支えていく、そして社会をより望ましい方向にもっていくこともできるのではないだろうか。
近年はあらゆるものにコンピュータが内蔵され、これらがネットワーク化されるというIoT(インターネット・オブ・シングス;もののインターネット)技術への流れが盛んであるが、まさにこれらのIoT技術の先に、人工「低」能のネットワークによるもう一つの知的処理システムが構成できるのではないだろうか。
そして、このような知的処理システムが地球的な規模に広がり、ネットワーク化されれば、社会をより望ましい方向に導いていけるのではないかと考えられる。植物や虫を模した知性は高度な知能とは言い難いが、いわば「人工低能」と呼ばれるレベルであっても、それらが複数集まり、ネットワーク化され階層化されることで、「人工低能による生態系」が創発されるのではないだろうか。ひとつひとつは高度な判断ができないが、これらが自己組織的に群れとなり、有機的に結合することにより、生命のような恒常性、頑強性、柔軟性を持った知的なシステムが生まれるのではないか。これは「人間の頭脳に近い」人工知能ではなく、もう一つ別の人工知能の進むべき方向ではないだろうか。そしてそのようなシステムが社会に組み込まれることにより、様々な社会的な課題を解決していけるのではないか。本書は、そのような視点から、人工知能の発展していく方向を考察しているものである。
冒頭の事例のような人工知能ロボットが社長になりマネジメントをしていく無人企業はかなり未来の話であるが、人工「低」能による群れがつくる知的システムは比較的短期間で、実用性を帯びてくる可能性が高いと考えている。
JINKOUCHINOULOBOTTOGATUKURUMUJINJIDOUKIGYOUNOKANOUSEI: MOUHITOTSUNOJINKOUCHINOU JINKOUTEINOUNIYORUGUNCHINOUGATUKURUMIRAI (Japanese Edition)
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