商店街のはずれにある書店の奥の奥。そこには小さく息づく命たちがいました。
私は見送るばかりで誰にも選ばれない。そう思っていた一冊の辞書の元へ、雨の降る日、運命が訪れます。
――あなたが私を手にした瞬間、私たちの旅ははじまりました。あなたは言葉を探し、私は自分の使命を探すのです。
電子辞書やスマートフォンといったテクノロジーよりも、アナログな辞書を愛する一人の男性との心温まる短編擬人化ストーリー。
ご家庭に眠る辞書がもしあれば、そっと手に取ってみて、かつて触れ合った遠いあの頃を思い出すのもいかがでしょう。
*本文:2,692字
<編集者より>
とかげさんらしい、女性的な線の細さを感じさせる作品です。
物語を通して静やかな雰囲気を感じさせるのは、ひとつに「雨」が効果的に作用しているからだと思います。劇的な展開があるわけでは決してないけれども、同じリズムを刻みながら、辞書とその持ち主が長い時間をともにしていく過程を、丁寧に折り畳んだ一作と言えましょう。
最近はやはり、電子辞書やインターネットで言葉の意味を調べる人が多いのでしょうか。
使い慣れた辞書を広げて、その重みを両手で感じながら、目を細めて細かい文字を追いかけていたあの頃が、つい懐かしく思われました。
JISHODEARUKOTO KOKUHAKUMELON (SAKKABUNKO) (Japanese Edition)
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