KankitoKiboutoAigin (KyorinsyaBunko) (Japanese Edition)

【復刻版の原本】
　この電子書籍は、以下の書籍の版面を複写し、シミ、ヤケ、活字のかすれ等をできるかぎり修正し、読みやすくした復刻版です。
　内村鑑三『歓喜と希望・愛吟』（角川文庫　昭和36年7月20日発行9版）

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【解説】
　敬虔なキリスト教徒である内村鑑三によるエッセイ集です。
　以下は、はしがきです。
「歓喜は天然においてあり、交友においてありへ伝道においてあり、希望は瀞の無邊の愛においてあり、而してこの小篇は、歓喜と希望とに関する余の所感を述べしものなり、人生もとこれ善なり、これ樂しむくきものにして憂うべきものにあらず、而して余もまた少なからずその甘味を味はうを得たれば、ここにこれを録して、余の同胞に頒たんと欲す、ねがふ、この小篇、またこの世に歓喜と希望とを供する一助たらんことを。」

　以下は、本書の冒頭からの抜粋です。
「人は誰も花を好む、花を好まない者は人にして人でない、花は天然の言葉である、花に由って我らは天然の心を解することができる、さうして我ら人類も天然の一部分であるから、我らの心も花において顯はれる。花は無言の言葉である、天使の國においては多分花を以て思想の交換を、なして居るであらう、言語は銀であって沈黙は金であると言へぼ、花は沈獣の言語、すなはち金の言語であるであらう。
余も花を愛する、余も花を以て余の心のすべての思ひを語ることができろ、希望の花もあれば失望の花もある、職喜の花もあれば悲哀の花もある、傲慢の花もあれば謙遜の花もある、人の心望のさまざまなるやうに花の色香も種々である。故に人の心はその愛する友を見て知ることができるやうに、その人となりは、ほぼその愛する花に由って見分くることができる。・・・・」