「これは、美しいものを追ってしまう人間の、『罪』を描いた映画です」
宮崎駿監督、最後の長編映画『風立ちぬ』は、興行収入が120億円(2014年1月時点)を突破するヒットとなった一方、作品内容については賛否が分かれます。
「二人の愛に感動した!」「あっけなくて何だかよくわからない……」「みんなタバコ吸い過ぎ!」
はたして宮崎駿監督は、この作品で何を描こうとしたのか?
『『風立ちぬ』を語る 宮崎駿とスタジオジブリ、その軌跡と未来』では、岡田斗司夫が作品、人物の両面から『風立ちぬ』を読み解き、宮崎駿とジブリの実像に迫ります。
さらに、『カリオストロの城』を題材にした技法解説、宮崎駿・吾朗親子の確執、『借りぐらしのアリエッティ』に込められたジブリスタッフの意図、引退騒動の真相分析も必読です。
(注)本書は、光文社新書版(2013年11月刊行)の内容に、ドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』についての新規コラムを追加した「電子増補版」です。
○岡田斗司夫(おかだとしお)
1958年大阪市生まれ。社会評論家。FREEex主宰。
1984年アニメ会社ガイナックス設立後、東京大学やマサチューセッツ工科大学の講師を経て、現在は大阪芸術大学客員教授。『評価経済社会』(ダイヤモンド社)、『オタクの息子に悩んでます』(幻冬舎)、『遺言』(筑摩書房)など著書多数。
【目次】
○プロローグ 人間・宮崎駿に迫る
○第一章 『風立ちぬ』を語る
・ボロボロだった、最近の宮崎駿監督作品
・いびつな天才の恋愛物語
・二郎が最初に恋したのは誰か?
・里見菜穂子の狡猾な計算
・二郎には人の心がわからない
・「声優」庵野秀明の起用は正解か?
・演技力では表せない二郎の非人間性
・2人の異国人は何者か?
・「綺麗」を選んだ二郎という男
・なぜ菜穂子は山を下りたのか
・里見菜穂子の赦し
・眼鏡で表現される虚像と内面
・「坂の上の雲」を目指した時代
・里見菜穂子の死
・宮崎駿監督作品の「赦し」
・残酷さ、美しさを演技で見せる
○第二章 アニメ作家・宮崎駿のすごみ
・宮崎駿監督は、単なる「老害」ではない!
・わずか半年、素人同然のスタッフで作られた『カリオストロの城』
・2枚の絵で30秒持たせる画面構成力
・天候の変化でストーリーを語る
・真夏の日差しまで感じさせる望遠圧縮効果
・雲が真上に流れるダイナミズム
・3枚のセルで人生に対する態度を表す
・わずかな演技で2人の関係を見せる
・火を見せずにタバコに火をつける
・強い作家性が現れた短編『On Your Mark』
・アニメ作りに伴う矛盾
○第三章 父と息子
・『ゲド戦記』騒動
・ジブリでは新人監督が育たない
・監督は誰が務めるのか?
・プロデューサー鈴木敏夫という人間
・何にでも反対する男
・天才の息子は人格者
・「宮崎駿の息子」という才能
・とんでもないスタッフ・クレジット案
・ジブリスタッフの本音が出た『借りぐらしのアリエッティ』
・『アリエッティ』のクライマックスに込められたメッセージ
・アリエッティは、ジブリのアニメーターたちそのもの
・宮崎吾朗は『コクリコ坂から』で現代のヒーローになった
○第四章 ジブリはどこに向かうのか
・なぜ宮崎駿は引退するのか?
・やりたいことをすべてやってしまった
・ジブリには宮崎駿しかいない
・鈴木敏夫プロデューサーも止めようがなくなった
・宮崎駿にとってのアニメとは何だったのか?
・「演技」と「動き」の違いとは?
・ダンテの『神曲』を知っているか?
・宮崎駿監督の後継者は誰か?
○第五章 『風たちぬ』への疑問に答える
・『風立ちぬ』は綺麗な恋愛の話ではない
・美しいものにしか興味のない堀越二郎と宮崎駿
・2人の悪魔がささやく夢とは
・宮崎駿監督がこの映画を作った本当の理由
・ピラミッドのある世界とない世界、どちらを選ぶか?
・これまでのジブリ作品にはない当惑、そして感動
○エピローグ 『風立ちぬ』と『火垂るの墓』、宮崎駿と高畑勲
・宮崎駿の永遠のライバル、高畑勲
・『火垂るの墓』の節子は、なぜ死んだのか?
・芸術と芸能の違いとは何か?
○【電子増補版オリジナル】宮崎駿の大失恋!? 『夢と狂気の王国』
・疑似恋愛が、宮崎駿のモティベーションをかき立てる
・担当プロデューサーの表情が見物のメイキング・オブ・『かぐや姫の物語』
・宮崎吾朗監督がドワンゴ川上会長を怒鳴りつける、ジブリの人間模様
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