KEMONOMIMIMUSUME NI ROCKN ROLL WO (Japanese Edition)

　‘この世界で魔法を使うには、詩や音楽などの芸術を神に捧げるか、生きた生け贄を悪魔に捧げるかして、そのエネルギーを取り出さなければならない’
　そんな法則が支配する世界。召喚術を研究している見習い魔導士のハルバール・フォインは、ある日突然、帝国宰相ミケルセンに呼ばれ、帝都へと赴くことになった。
　「君が、あの計画の立案者かね」
　ミケルセンはフォインを、若き天才であり、魔導技術上の奇跡をもたらした世紀の大魔導士であるかのように扱ってくれる。ミケルセンはフォインの考案した術式を用いて召喚術を行い、それに成功すればフォインを中央魔法院の主席魔道師として取り立てるつもりなのだという。
　だが、フォインはミケルセンを、獣人に対する差別政策を行う為政者として嫌っており、協力するべきものか思い悩む。
　一方、召喚術が行われる前の、こちらの世界。
　売れないストリートミュージシャンである金城陸は、何度目かのオーディションを受けていたが、ミケルセンの行った召喚術によって、フォインらのいる世界へと召喚されてしまう。
　こちらの世界では売れないストリートミュージシャンに過ぎなかった金城陸であるが、フォインらのいる世界では、魔法を使うために不可欠のエネルギー源となる音楽を沢山知っており、何物にも勝る力を持っていた。
　金城は自らのその力になかなか気付かないが、ミケルセン派の宮廷、旧勢力である騎士たち、それに旅の暗殺者であるオーラフらが、金城を狙って相争う。そんな中、金城は獣人である冒険者の娘と知り合い、一緒に旅をすることになったのだが・・・。
　剣と魔法の本格的ファンタジー。こちらの世界から召喚された主人公と、異世界の娘が供に旅をして世界を救う、王道の異世界召喚ものとなります。
　非ハーレムもの、薄っぺらい男女の遊びは一切ナシ！男と男の友情や、青春小説のテイストも取り入れた、伏線たっぷりの重厚なストーリー展開は、従来からのライトノベルの概念を吹き飛ばしてくれるでしょう。軽いだけのファンタジーに辟易してきたあなたに。胃もたれ注意な本格派ファンタジー文学です。

作者Twitter→ @kaze_akitsu