昭和27年5月角川書店発行の『近代悲傷集』を原本として電子書籍化したものです。旧字・異体字は原則として新字・通用字に改めました。
本書は戦前・戦中の詩を中心に収録した『古代感愛集』と対になる詩集です。主として戦後に作られた詩を集成したもので、敗戦直後という時代背景を色濃く反映しています。
例えば、日本国憲法が施行された直後に発表した「新憲法」では、
たゝかひは終りたり。
この日ごろ ひたぶるに
静かなる国土(クニヅチ)の上に
思ほえず あがる歓び
憲法は さだまりぬ。
憲法の めでたさよ。
と新しい憲法を祝福し歓迎しました。
また書き下ろしの名高い長編詩「神 やぶれたまふ」では、
神こゝに 敗れたまひぬ―。
すさのをも おほくにぬしも
青垣の内つ御庭の
宮出でゝ さすらひたまふ―。
国びとが国の神々を失った歎きを荘厳に詠じつつ、「敗れても 神はなほ まつるべき」と神道護持の決意を謳い上げます。
「曾て言葉は神々の肉であった、迢空先生の詩は、それを今に喚び返すものである。言葉は再び悦ばしき肉を得て現し世の悲痛を蹈舞する」(神西清。角川書店版の帯宣伝文より)
戦後の詩人・歌人・評論家等にきわめて深い影響を与えた詩集です。
漢字を改めた以外、初刊本を忠実に電子書籍化したもので、中央公論社の新旧の折口信夫全集のテクストとは、一部異なるところがあります。
収録作
「北京のわかれ」「独逸には 生れざりしも」「地下水」「飛行機」「飛行機 二」「外光」「外光 二」「なつぐさ」「葎」「陸羽西線」「橋ある水」「やまと恋」「しかすがに ひとり思へば」「世代の女」「世代の女 二」「ゆき」「断雲」「人拐ひ」「数ならで」「繁華の幻」「しをれぐさ」「笹子の彼方」「三田飄眇集」「あすたぽぼの夢」「はかなしごと」「筑紫の奥」「掏児」「沙丘」「山上」「自転車」「白」「もの忘れ」「断章」「饗宴の記憶」「夏幻想」「夕」「新盆」「冬くさ」「天地」「余目」「海の幻」「智慧」「新憲法」「あきくさ」「青年」「半日」「父の島 母の島」「母を讃ふ」「贖罪」「すさのを」「天つ恋」「愉悦」「夢の剽盗」「神 やぶれたまふ」「きずつけずあれ」
Kindai hisyou syuu (Japanese Edition)
Sobre
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