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    Koganecho Chronicle (Japanese Edition)

    Por Dambala Tell-Kaz

    Sobre

    近年アートを活用したまちづくり活動が全国的に活発である。アートNPOなどが自治体や公共団体と連携しながら成果を積み重ねている。

    財団法人地域活性化センターの「平成24年版 地域活性化事例集」には横浜市の黄金町を含めた53の事例が紹介されている。
    しかし黄金町のケースは他の自治体の事例と異なる事情を抱えている。それはアートの導入に犯罪の抑止や過去との決別という政治的な意図が強く働いている点である。
     
    治安や風紀の乱れた(主に低所得者層の居住)地区を再開発や文化活動などによって改善していくことを「ジェントリフィケーション」と呼ぶ。黄金町の再生は典型的なジェントリフィケーション事業だ。
    こうした事業はもともと治安に問題を抱えた地区に実施されるという性格上、なんらかのトラブルが起こる可能性も考慮しておくべきである。 
     
    売春窟を壊滅させた「バイバイ作戦」から10年が過ぎようとしている黄金町。
    この町の現状について、終戦後から現在までの歴史もフォローしながら扱ったのが本書だ。
    書籍や雑誌、ネット媒体では扱いづらい内容を多々含んでおり、電子書籍だからこそリリースできたと言える。

    「アートによるまちづくり」や「ジェントリフィケーション」について考える際、無視できない一冊となるだろう。
    遊郭跡地や日本の裏名所に興味がある読者にとっても、読後満足度はかなり高いはずである。

    文字数=78,849文字(付録除く)

    =内容=
    二部構成からなる。

    第一部
    第一部は2009年に発表した「消えた横浜娼婦たち」の最終章を再掲載。
    「チョンの間」の組合長だった人物の語りで町の歴史を振り返る。

    第二部
    短編の連作からなる。
    ・「バイバイ作戦」後のタイ人コミュニティーの混乱
    ・「チョンの間」時代のタイ人娼婦の夜遊びやタイ人の賭博場、タイ人専用ディスコなどについて
    ・2011年の「黄金町バザール」期間中に「竜宮」で実施した「百物語」実施の顛末
    ・黄金町バザール、エリアマネージメントセンター、その他諸々を含めたポスト・バイバイ作戦に関する批評、考察
    ・黄金町の「地金」に関する雑感
    ・アート施設で起きたある犯罪に関すること
    など雑多な内容。
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