Koukou de Ninkimono ni Naru Hou: Monogatari Keishiki no Jitsuwa Essay (Japanese Edition)

高校で、皆と仲よくなれるかどうか。
楽しい恋が、できちゃったりなんかもするのかな――
入学する時には誰しも気になってしまうし、期待もしてしまうものですよね。

本書の著者の場合は幸い、わりに恵まれていたと言えそうな三年間を過ごすことができました。
途中で立場が危うくなった時期をはさみながらも、それを乗りこえることができたのです。
そんな三年間の体験談を、物語形式の長篇エッセイとしてつづったのが本書です。
それは今まさに中学や高校へかよっている読者の皆さんにとって、一つの事例として参考にしていただけることでしょう。
一方で、すでに思春期を通りすぎた読者の人たちにとっては、自分自身の学生時代を懐かしくふりかえるためのきっかけになるのではないでしょうか。

高校に入学した著者は、教師たちからにらまれる羽目になろうと気にせずに、級友たちのためにふるまおうとします。
そんな姿勢が評価されてか、級友たちとは親しくなることができました。
いじらしい一人の女子と仲よくなって、その彼女に対して恋愛感情を抱くようにもなります。
その一方では、後に「きれいな御嬢さん」として雑誌に大きな写真が載った別の女子も、著者に対して親しく接してくるようになります。
その結果、著者が恋愛感情を抱いた相手の女子の方は、やや著者に対して距離を置くようになってしまうのですが。

ところが二年生に進級してから、少し雲行きがかげりはじめてしまいます。
他になり手がなかったために学友会の役員を引き受けることにした著者は、あまりクラスのためには手間を割けなくなってしまったりしました。
何人もの教師たちからにらまれて、苦しい立場に追いこまれたりもします。
そんな中で著者自身、気持ちがすさんでしまった結果、級友たちから距離を置かれてしまったりもしたのです。

しかも三年生になった年には、著者の父親が転勤で他の家族と一緒に引っ越してしまい、著者は一人で後に残って下宿くらしをするようになります。
ところがそれと前後して、級友たちとも再び親しく関わることができるようになっていくのです。
でも著者が恋愛感情を抱いた相手の女子は、著者との間に距離をおくようになったままでした。
そこで著者は卒業までの間に、なんとかしてその彼女との関係を修復したいと考えます。
はたしてそんな著者の試みは、功を奏したのでしょうか？
本書には卒業の直前に大きな山場を迎える、そんな著者の波乱万丈な三年間の起承転結が描かれています。