「日本人が来たぞ!」中国人の村に入ると多勢の村人が僕たちを囲みました。村人たちの手には棍棒のような物が握られていて、今にもこの棒を振り上げて殴りかかってきそうな形相です。僕は弟の千秋の遺骨が入った骨壺を首からぶら下げていました。真っ白い布に包まれ、胸に抱えている姿から大切な品物に見えたのでしょう。五、六人の村人が僕に向かって突進してきました。骨壺を奪おうと、何人もの手が襲い掛かります。「これは大切な弟だ。離せ!」僕はありったけの声で叫びました。憎い日本人の持ち物は、好きに奪っても構わない、村人たちは、我々日本人の持ち物を力ずくで奪い取る、これが村を通過する時の当たり前のセレモニーになっていたのです。
日本人と中国人は、近くて遠い関係にあります。遥か昔からの隣人でありながら、お互いに仲良しのお隣さんにはなれませんでした。
有史以来、日本と中国との戦いは何度となく繰り返されてきました。
中国人達は言います。「日本人は歴史を正しく認識していない。反省がない」
我々日本人も負けてはいません。「中国人は迷惑な隣人だ。世界のマナーを守らない非文化人」
日本人も、中国人も、お互いを罵り、罵倒する言葉には事欠きません。
日本と中国の間で、実際にどのような過去があったのでしょうか?
第二次世界大戦中、その戦争が終わった直後の日本人と中国人たちが取った庶民の行動とは?
私はこの時代に中国に住んで生活をし、戦後、その中国から命からがら引き揚げてきました。
終戦時、小学一年生だった私が体験した鮮烈な出来事は、六十五年も経った今でもハッキリと記憶しております。日中両国民の「真」の歴史なのです。
戦争という非日常的な中で、人間はどこまで残酷になれるのか、これは少年だった私が実際に体験した実話です。
誇張や創作、想像といったものは一切含まれていません。
日本人は中国で本当に酷い事をしました。
中国人も、日本が戦争に負けた途端に、恨みを倍返し、いや、中には十倍返しで晴らしていた連中もいました。
少年が体験した普通の日本人VS普通の中国人の戦い!
私は、若い人達に、六十五年前に「日本人はこんな事をしていた」そして「中国人もこんな仕返しをしていた」という事を知って欲しくて、この文章を記しました。
平成25年8月(著者)
kouyanouchiagehanabi (Japanese Edition)
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