詩人萩原朔太郎の異色の箴言集。大正11年に出版され反響を呼んだ。アフォリズム的文学精神と文体とは当時はなく、他にはわずかに芥川龍之介の『侏儒の言葉』(大正12年)があるのみである。寸鉄の言葉が、現代でも新鮮に感じられる。他の箴言集としては、『絶望の逃走』がある(別途、響林社文庫より復刻版を発刊予定)。
箴言の一例としては、
「男と女とが互ひに相手を箒とし、味噌漉しとし、乳母車とし、貯金箱とし、ミシン機械とし、日用の勝手道具と考へる時、もはや必要から別れがたく、夫婦の実の愛情が生ずるのである。」
「愛は、その愛するものを独占しようと願つてゐる。しかしながら、愛はそれに成功してしまつた後では、競争もなく、嫉妬もなく、退屈で褪め易いものにかはつてくる。」
「民衆の正義とは、富豪や、資産家や、貴族や、その他の幸福なものに対して、利己的な嫉妬を感ずることである。いかに? 嫉妬ですらが、尚正義であるか?」
「崇高な不徳は讃美される。だが卑陋なけち臭い者共は、どんな事情に於ても許され得ない。」
「都会の生活は非人情であり、そしてそれ故に、遥かに奥床しい高貴の道徳に適つてゐる。」
「女に於ける嫉妬は愛の高雅な情操によるのでなく、実には猛獣の激情に類するところの、
野蛮の本能によるのある。」
【復刻版の原本】
この電子書籍は、以下の書籍の版面を複写し、シミ、ヤケ、活字のかすれ等をできるかぎり修正し、読みやすくした復刻版です。
萩原朔太郎「虚妄の正義」(角川文庫 昭和33年8月5日発行5版)
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KyomounoSeigi (KyorinnsyaBunko) (Japanese Edition)
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