黒いオスライオンが檻を飛び出し町を駆け巡る。人々は彼を恐れ殺そうとする。
『黒い檻』他、著者が2014年から2016年までに書いた7つの短編を収録した短編集。著者の筆跡をたどる一冊。
『竹藪の柩』
私は父の遺産として家と山といくらかの預金を受け継いだが、
それで一生分の雨風をしのげるわけではなく今も働く身分だ。
両親や、あの人が死んでから働くのが嫌になり、
仕事を辞めて、私の山にひきこもることにした。
山は国道からも遠く人気も無い。
ただ竹林が静かに広がっていた。
『ぼくとリカルド』
ぼくらの友情はいつだって駆け足で、あとには何も残らない。
リカルドはブラジルからの転校生でぼくの次に足が速いんだ。
彼とはレンコン畑を挟んでお隣さん、いつも一緒に遊んでた。
泥の中の約束、ふたりの一年間はあっという間に過ぎ去った。
『アーモンドの花』
とある事情で外国から逃げてきた男とその娘リタ。
男は父の畑を手伝うようになり、そのかたわらで父の土地を借りてアーモンドの木を植えるようになった。僕とリタは仲良くなるが、彼女の父親がアーモンド事業で成功を収めるようになると二人の関係はおかしくなり始めた。消えない思い出を胸に秘めた男の物語。
『マリッジブルー』
同棲中の恋人から突然プロポーズされたバンドマン。
“おい、ちょっと待ってくれ。俺はまだ結婚したくないんだ。”
二人の関係はもうそれを言える状態ではなかった。結婚するか結婚しないか。男はギターを抱えながらTVの前で考え続けるが、結局一人では答えを出せず、バーを経営する坂田先輩とタコ焼き屋をやっている多田先輩をそれぞれ訪ねることにした。
『猫と妻の思い出』
保健所で殺処分されるはずだった茶トラのメス猫を僕は飼っていたが、妻はその猫に触れようともしなかった。ある日僕の猫が姿を消した。彼女が捨てたに違いないのだ。絶対に許せない。浮気をするだけでなく猫まで捨てるなんて。人の心を持たない妻に僕は腹を立てた。必ず全てを暴いてみせると心に誓った。
『ベンツを燃やせ』
“俺達のベンツを燃やそう!”
これが俺達を結びつける秘密のキーワードだった。
去年から首を切られた社員はこれで8人目だった。今度は誰が首を切られるのか誰もがビクビクしていたが、とうとう俺は怒った。俺の怒りは社員全員に燃え広がり、その怒りは社長のベンツに向けられることになった。
『獅子の檻』
レオタ君は突然変異で全身の毛が真っ黒のライオン。
思春期の彼は母上から聞いたサバンナのことが気になってしかたがない。
とうとう我慢できなくなって動物園の檻を抜けだしたレオタ君は
山中に身を隠しながらサバンナを目指すことにした。
long road: short storys (USHINO syousetsu season1) (Japanese Edition)
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