この本は、市販の紙の本「間違いだらけの商店経営」 発行 文藝春秋、定価1,800円+税、著者 上條資男を電子書籍用に書き改めたものです。
ついては一部内容に異なる部分もありますし、ある程度簡略化した部分もあります。 また電子本のために3部構成(上巻・中巻・下巻)としました。 上巻では小売業の日常的な実技内容について、中巻では数値管理や商品管理などの基礎的な技術論について、そして下巻では作業問題と組織のあり方について。 さらに店長職務の与え方と資金繰り、そして最後に後継者問題を掲出しております。
どれも今までの小売業にない技術や理論です。 これからの小売業経営に必要不可欠な内容ですから、ぜひとも本書(上・中・下巻)のみならず、紙の本も合わせてご購読いただきたいと存じます。
さて、わが国の小売業界(飲食・サービスも含む)は今、三重苦、四重苦ともいえる厳しい環境に置かれています。
1つ目は小売店舗の減少、2つ目は消費増税の問題。 そして3つ目が少子高齢化で、4つ目はインフレ施策の問題です。 小売店舗の減少はピーク時(昭和57(1982)年の172万1,465店)に比して平成26(2014)年は78万719店と、実に半分以下に減少しました。 しかも大企業がショッピング・センターを開発していて、なお半分以下ですから、中小零細の小売業は3分の2くらいが淘汰されたと予想されます。
そして消費増税の問題。 近々10%に、しかしこれだけでは終わらないというのが識者の見解で、近い将来
20%台になると言われています。 増剤分は確実に小売売上高が下落する。 だって同じ財布から出費するのですから・・・、また少子高齢化は消費の減退と商圏内人口の減少を招き、インフレ施策は購買数量の減少を招く結果となるでしょう。 つまり消費するのは金額の多寡ではなくて数量です。 消費する数量が同じで単価が下がれば、結果として売上は低下する。 だから、インフレにならなければ経済は活性化しないし、景気は良くならないと・・・・。 しかしインフレになったら、一般消費者の暮らしは苦しくなるばかりです。
本当に所得が増える確信はあるのでしょうか? 欧米諸国に比して、日本の物価は高いのが現実です。 物価が安いのならインフレも容認できるでしょうが、所得は変わらないのに物価が高い、それでもインフレを図るのでは、一般庶民の暮らしはますます苦しくなるばかりです。
このような状況をいくら嘆(なげ)いてみても解決にはなりませんし、今の商売をやめるわけにはいきません。 つまり我々小売業者には“地域社会の暮らしを守り育てる”という壮大な社会的使命があり、これは製造業や卸売業には真似の出来ない、小売業(飲食・サービスを含む)だけの特権です。
しかし今まで我々がやってきた努力の踏襲(とうしゅう)では、これからは通用しません。 これからも企業を持続し、かつ成長・発展を遂げるためには、これまでのやり方をガラッと変え、まったく新しい発想や思考で商売をしなければなりません。 そのための材料を提供する! それが本書のねらいでもあります。
本書で紹介するノウハウは、ほんのひと握りの大手小売業者のみが独占的に享受(きょうじゅ)し、活用して成功を収めてきた伝家(でんか)の宝刀です。 そんな貴重なノウハウを惜しみなく本書で紹介しているのは、私がこの業界に多少なりとも貢献することがこの業界に生きた証なのだと考えて、公表することとしたものであります。 ぜひご一読のうえ、今日から現場で活用し実施してみてください。 あなたの商売が昨日までとはまったく違う、思想と手段に生まれ変わって、1年後にはあなたの顔色や表情までもが明るく、そして前向きになっているのではないでしょうか?
■本書の概要
しっかりと利益を出すための、理論と技術書です。
‘------あなたの商売のやり方、間違っていませんか?
「買う人の身」、「使う人の身」になって商売すれば、信者(儲け)が増えて儲かるのです。
‘-----悪いと思っていても、手の打ち方が分からない。本書では、そんな方に最新の技術と手順を惜しみなく、紹介しています。
'-----売上に一喜一憂しているから儲からない、
あるべき方向へ舵をとれば、(やり方を変えれば)今の商売でも儲かるのです。
*小売業経験60年の筆者が現場で実地に試行し、かつ成功した事例のみを紹介
だから、一部のコンサルタントが机上で組み立て理論や技術とはまるっきり異なり、
成功間違いなしの手順や方法が詳細に紹介されています。
*今のわが国における、最新・最高の理論と技術を紹介
150年以上の近代小売業の歴史をもつ欧米の最新技術を、日本流にアレンジし大企業で成功
した事例を紹介しています。 だから、この書にある理論や技術が今最新・最高のノウハウなの
です。 註)日本の近代小売業の歴史はたった60年しかありません。
■そして具体的には
・この書には小売業経営書にはめずらしい、組織問題(下巻)まで紹介しています。
筆者が現場経験者だから分かる、苦慮しながら習得した技術です。 あなたの毎日に、即役立つ、人間関係を明快に解き明かしています。
・中心商店街の凋落と活性化策(上巻)についても紹介
その原因と活性化策、さらにはイベントなどの無為な施策についても解説しています。 関係者が読めば、やっぱりかと思えることばかりです。
・商品管理・数値管理(中巻)の仕方をやさしく、そして具体的に紹介
実際の数表を使って、集計の仕方、問題点の洗い出し方、そして対策の方法など、 苦手な商品管理や数値管理が誰でも出来るようにやさしく平易にまとめられています。
・長期経営計画(中巻)の考え方や作り方についても、こと細かく解説しています。
長計で計画すべき項目、作り方、そして具体的な運用の仕方や使い方まで、こと細かく誰でもが作れるように、親切に解説しています。
・不振時対策(上巻)として、不振時にやってはいけないこと、やるべきことと題して
やめるべきこと―8項目、すべきこと―16項目など、具体的に詳しく紹介しています。
あなたは、バブル期と今とで、打つべき手が違いますか? 同じだとしたら上手くいきませんよね、
・「店長職務の与え方の間違い」(下巻)このことによって
わが国小売業の脆弱さを露呈しているんだと言わんばかりに、その原因と対策について、誰もが納得できるように、詳しく解説しています。
・作業問題とマニュアルの重要性(下巻)について
誰もが軽視している問題ながら、これこそがこれからの小売業経営の最重要課題であるとの認識から、克明にその理論と技術を紹介しています。
・最後に、後継者問題(下巻)にも触れています。
今の商売を継続させるために、後継者の教育のあり方、社内への迎え方、そしてバトンタッチの時期までも、具体的に分かり易く紹介しています。
本書(下巻)では、
〔09〕 資金繰り軽視の間違い
〔10〕 組織と作業のさせ方の間違い
〔11〕 店長職務の与え方の間違い
〔12〕 後継者育成の間違い
特に組織問題と日常の組織運営、つまり“横”の関係(上司と部下)、“縦”の関係(他部署との連携)について解説し、作業問題については、“作業マニュアル”の具体的な作り方とその運用の仕方について、さらには店長職務の間違いによって、確保可能な利益までをも喪失していることなど、最後には後継者問題として、その育成方法、バトンタッチの仕方など、より具体的に解説しています。
■筆者略歴
上條 資男(かみじょう しげお)
昭和13(1938)年2月 神奈川県生まれ、
昭和29(1954)年、株式会社オギノ(山梨県のスーパー・マーケット。当時は服地専門店)へ入社
衣料品の仕入れ・販売業務を経て、昭和43(1968)年から販売促進・店舗企画に従事。
平成3(1991)年、渥美俊一先生(ペガサスクラブ主宰)のご紹介で、株式会社ジェーソン(千葉県中心のディスカウント・ストア。 現バラエティ・ストア)へ転職。 店舗運営、店舗開発、財務を担当。
平成6(1994)年4月取締役、平成8(1996)年5月常務取締役。 平成10(1998)年9月定年退職。
その後、同社の常勤監査役に就任、現在に至る。
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