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    MoneyMad volume3: Hands for plunder Money Mad (Japanese Edition)

    Por Seiryu Kishi

    Sobre

    カネが欲しい。
    無ければ、顔の形が変わるまで殴られるから。
    カネが欲しい。
    無ければ、虫ケラ以下の生活に落とされるから。
    カネが欲しい。カネが、カネが、カネが、カネが、カネが、カネが!

    じゃあ、どうする?

    決まってる。
    奪うんだ。おれのセンスと才能で。
    奪えるところから、根こそぎ奪うんだ


    ********

    1984年(昭和59年)、東京。
    大学四年生の岸は、人生の師と仰ぐ三島の自死するさまを、受話器越しに聞かされた。
    遅々として進まぬ就職活動のさなか、まだ秋を見ぬ熱帯夜のことだった。

    「欲求を解放し、おまえ自身の星を生きろ」と檄を飛ばしてくれた三島の、
    鮮血に染まった絶命に衝撃を受け、岸は卒業までを廃人のように過ごした。
    かつての縁故に救われて、小さな広告制作プロダクションへ入社することが叶った。

    睡眠もままならぬ激務にも身体が馴染んだころ、
    岸は最大手広告代理店のルーキー、加藤と運命的な出会いを果たした。

    カネの力を利用した「覇権」をもくろむ加藤と、
    三島を自死に追い込んだカネの暴力に「復讐」したい岸。
    まるで違う二人は、儲けることと立身出世の大望を軸に、秘密裏の相棒として結託した。

    加藤が持ち込んできた新ビジネスとは、
    当時まだ日本に未上陸だった音楽フェス「レイブ」の立ち上げを果たすこと。
    必要資金は1,000万円。

    このタネ銭を稼ぐため、岸は現役政治家である加藤の父と交渉をして500万円の借金をし、
    無修正アダルトビデオの制作と通信販売で山と稼いだ。
    岸は男どもの欲情を煽り立て、欲しがらせるための広告を幾重にも撒いた。
    そして足のつかない方法でビデオを大量にさばき、すぐに加藤の父に利息をつけて完済した。

    残った1,500万円の売上は表に出せないため、そのまま父に保管してもらうことになった。
    こうして熱狂のような商売の痕跡を緻密に消し去ったあと、
    岸は現金という説得力と、ブラックな商売で発揮したおのれの才覚に酔った。

    それは岸にとって、この世の春だった。
    欧州留学を夢見るけなげな恋人、真琴との同棲生活も順調だった。



    しかし春は短かった。
    周到に秘匿していたはずの荒稼ぎが、悪い筋に漏れていた。
    時は1989年、昭和天皇崩御の年だった。

    明け方の寝込みをしゃがれ声の筋ものたちに押し込まれ、
    その場で気絶した真琴をさらわれた。

    思考を奪われるほど殴られた岸は、金融業の事務所まで連行され、
    利息29%、3,000万円の借用書を突き付けられた。
    まったく覚えのないものだった。

    ぼろぼろの身体で担ぎ込まれた病院から岸が退院すると、
    真琴の荷物はなくなっていた。加藤への通話ももう繋がらなかった。

    岸は退勤後にもあらゆる日雇いやバイトなどを働きづめたが、
    利息返済すらままならぬ絶体絶命だった。支配するのは絶望だった。

    そして日課のように座り込んだ無人の加藤の部屋の前で、
    岸は久しぶりの「相棒」と、彼に付き従う女性の姿を目に留めた。
    それは岸が何よりも見たくなかった、現実だった。

    マンション前の公園で、岸は加藤に切り出した。
    口から洩れた言葉とは、おのれの心を裏切るような、最低に惨めな言葉だった。
    しかし時を待たず、岸は思い知らされることになった。
    心を預けたはずの加藤の前で土に伏し、その舌に刻み込まれていく苦い味のことを……。


    カネの亡者(マネーマッド)は地獄をさまよう。
    奪うものほど奪われる。熱い風が吹いている。
    空にいただく星々を、地獄の風がなでている――。

    マネーマッド三巻、復讐の幕が開ける!


    【著者 プロフィール】
    岸正龍(きし・せいりゅう)
    サイコドライバー合同会社 代表社員
    株式会社浅野屋(モンキーフリップ)代表取締役
    一般社団法人日本マインドリーディング協会(JMRA)理事
    JMRA公認グランドマスターマインドリーダー
    エニアグラム研究所 トレーニングプログラムPart1~3終了
    C+Fエニアグラムトレーニング二期卒業
    米国NLP協会認定エリクソンヒプノ・プラクティショナー
    行動心理士

    1963年1月12日名古屋市中区大須生まれ
    東海高校を卒業し上智大学経済学部入学
    3年次に多摩美術大学芸術学部にも入学

    大学時代は芝居に明け暮れ、卒業を前に浅井企画に所属。
    お笑い芸人を目差すも挫折しコピーライターに。
    徒弟制の企画室で365日24時間勤務の修業を積み、デザイナーに転職。
    竹下通りを席巻したタレントショップ数店のグッズ企画とデザインを担当し、
    折からのバブルもあってこの世の春を謳歌する。が、すぐにバースト。
    お金に詰まり、人間関係も悪化して、実家である名古屋に逃げ帰る。

    1996年「モンキーフリップ」をオープン。
    開店当初は“メガネ雑貨の小さなお店だったモンキーフリップを、
    他に類を見ないデザインと心理誘導を駆使したマーケティングで、
    地方発のブランドながら全国に熱いファンを持つアイウェアブランドへ成長させる。
    その活躍は、テレビや雑誌など多数のメディアで取り上げられている。
    また、「人間心理をビジネスやコミュニケーションに活かす」講演やセミナーを、
    小学校から大学、商工会から海外まで多数実施。分かりやすく役に立つと好評を博している。

    しかし過去は暗く、小学校低学年はひたすらイジメられる日々だった。
    そのイジメが苛烈を極めたため、「他人を意のままに操れたらどんなにいいだろう」と強く想い、
    心理学、エリクソン催眠、コールドリーディングやメンタリズムを貪欲に探求。

    特にエニアグラムは、アメリカの第一人者であるドン・リチャード・リソ氏(2012年他界)、
    ラス・ハドソン氏の流れを汲むC+F研究所にて2005年より10年に渡り本格的に学び、
    破壊力抜群の対人コミュニケーションスキルとして「エニアプロファイル」を産み出す。
    エニアグラムをビジネスに取り入れた「ゼニアグラム」も提唱し、
    地元名古屋で成功者を生み出している。


    <受賞歴>
    2002年 ワクワク系マーケティング実践会社長のアカデミー賞グランプリ
    2010年 アイウェア・オブ・ザ・イヤー2011 メンズ部門
    2013年 グッドデザイン賞

    <著書>
    相手を完全に信じ込ませる禁断の心理話術 エニアプロファイル
    超人気キラーブランドの始まりは、路地裏の小さなお店から
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