nagaremono yoichiro series 5 (Japanese Edition)

好評与一郎シリーズ第５弾。直参旗本の榎戸与一郎は相変わらず呑気なもので、音羽町での料亭遊び、本所の妙見参りと、江戸の春を満喫しているようだが、そのじつ九州にむかった野川小次郞からの連絡を待ちわびていた。すでに大目付の宗門改方は、江戸脱出を手助けしたキリシタン信徒が越後経由で九州にむかったことを察知したおり、密かに同行した小次郞のかかわりが露見する危険がある。同じく心配する奥山左十郎は、江戸中の道場破りをつづけている九州柳川藩の剣士大石進が小次郞と出会ったらしいと推測し、なんとしても話を聞こうと画策する。そのころ村垣淡路守は、遠山楽土から薩摩藩の大御隠居・島津栄翁が与一郎に会わせるよう頼まれたと聞かされる。数百万両におよぶ借財解消をめざす栄翁は、入手した大目付の捜索情報から与一郎を介してキリシタン信徒に近づき、南蛮貿易に乗り出そうと計画。肥前の五島列島に潜伏した信徒は、すでに薩摩自顕流剣士団の監視下にあり、将軍岳父の権威をちらつかせながら協力を迫り、同時に自顕流剣士に与一郎襲撃を指示するなど、手段を選ばぬ姿勢を示した。一方、五島福江島に潜伏した信徒の盟主おゆうと妙鶴尼は、宣教師に会うために清国渡航を決意。この二人を陰ながら警護する野川小次郞と、それらを監視する薩摩監視団は一触即発の状態にあった。やむなく栄翁の要求に応えようと決意した与一郎は、対策として提案された榎戸者の五島派遣を了承。やがて五島では、左十郎や小次郞を巻き込んで薩摩監視団との壮絶な闘いが繰りひろげられるのだった。