Nihon Renpou uchugun juu junnyoukan JSS-HC3 Takao (Japanese Edition)

　長く続いた日本の内戦は終結し、日本連邦は世界各国から出遅れた宇宙進出に取り組み始めた。
　だが、羽佐間大佐が欧州で買い付けてきたのは高速で強力な艦隊決戦用の巡洋艦ではなく、安価なパトロール用巡洋艦だった。それにも関わらず代金は予定通り支払われた。差額はどこに消えたのか。かつて内戦中は海賊との癒着が噂された羽佐間大佐は、またしても不正を働いたのだろうか。
　折しも、三ツ葉宇宙採鉱株式会社が銀を採掘しているセルガー星系第5惑星から緊急連絡が入る。北央連合がその星の領有権を主張しているというのだ。羽佐間大佐率いる巡洋艦高尾は日本連邦の権益を守るためにボーダーゲートを出航する。だが、北央連合の巡洋艦ポートランドもボーダーゲートを出航していた。
　はたして、高尾は日本の権益を北央連合から守り切れるのか。
　そして、癒着と不正は本当にあったのか。

目次
プロローグ『警告射撃』
第１章『喪失領域』
第２章『新生領域』
第３章『辺境領域』
第４章『逆転領域』
エピローグ『効力射撃』

主要登場宇宙艦船
『GOOD HOPE』(国産宇宙往還機/滑空試験機・日本国)
『JSS-HC3高尾』(重巡洋艦・日本連邦)
『JSS-HC4摩耶』(重巡洋艦・日本連邦)
『NCAアトランタ』(重巡洋艦・北央連合)
『NCAポートランド』(重巡洋艦・北央連合)
『ラマダン』(燃料輸送船・ユナイテッドアフリカ)
『アーサー・M・ハドル』(宇宙貨物船・北央連合)
『バロン・ヴァーノン』(宇宙貨物船・ウェストユーラシア)
『アンナ一世』(海賊船)

ミニミニ用語集抜粋
● JSS(艦名接頭辞)
　日本連邦宇宙艦(=Japaland Star Ship)

● NACAUS(ナーカス)
　北央連合宇宙軍の略称(North And Central America Union Spacy)

● NCS(艦名接頭辞)
　North and Central american Ship
　北央艦の接頭辞。ちなみに、インペリアル・ハンは接頭辞を使用しないので存在しない。
　NCSポートランドは、北央艦のポートランドということ。
　ただし、旧アメリカ合衆国所属艦はUSSを付けて呼ばれることも多かった。

● WES(艦名接頭辞)
　West Eurasian Ship
　ウェストユーラシア艦の接頭辞。WESマーヤーは、ウェストユーラシア艦のマーヤーとうこと。

● UAS(艦名接頭辞)
　United Afrcan Ship
　ユナイテッド・アフリカ艦の接頭辞。本作では出番が無い。

● 大雪級重巡洋艦
　ウェストユーラシアのリバプール級パトロール巡洋艦そのものである。
　後にアップグレードキットでサンクトペテルブルグ級艦隊決戦用巡洋艦相当に改造された。大雪級と呼ばれるのは、大雪、阿蘇、高尾、摩耶、高尾(二代目)の五隻である。
　軍縮条約脱退後は、ウェストユーラシアに倣って大雪級パトロール巡洋艦と呼称を変更しているが、これは実際には艦隊決戦用巡洋艦相当に改造された事実を秘匿する手段であった。ただし、艦ナンバーのHC(Heavy Cruiser)の表記は最後まで変更されることはなかった。

● 重巡洋艦大雪(JSS-HC1)
　薩摩級戦列戦艦が配備されるまで、日本連邦宇宙軍旗艦を勤めた。一応、日本連邦を守護する最後の砦として砺波宇宙港から動かさない方針とされたが、司令長官が臆病風に吹かれて大雪は絶対に動かさないとか、大雪は雪に埋まって動けないと陰口を叩かれた。
　ほとんどあり得ない日本連邦本土への直接攻撃に備えるのではなく、最初から辺境に送っておけば高尾の苦労は半減されたであろうと言われる。