orenjinokujira: ionoinbou (tatunobunko) (Japanese Edition)

　主人公、松岡裕斗は、ごく普通の高校生である。しかし、ある時、彼は、空に、クジラが浮かんでいるのを発見する。それを、周りの人に言うが、何故か、その姿が見えるのは、彼本人だけだった。そのため、彼は、嘘つき少年と呼ばれるようになる。しかし、その彼を、唯一、信用してくれた人がいた。それは、幼馴染の緑川愛美だった。彼女は、自分では、そのクジラの姿は見えないが、彼の言うことを信じた。しかし、その愛美も、高校3年の春、親の転勤で、都会へと転向する事になった。愛美は、『都会の大学で会いましょう。』と、言い残して、そこを立ち去る。裕斗は、それから、死に物狂いで、受験勉強に取り組むが、如何せん、日頃の勉強不足が祟って、受験に失敗する。しかし、愛美は、無事、志望校に現役合格していた。その事を知って、裕斗は、必ず、来年、愛美と同じ大学に入るんだと決意し、それから、日夜問わず、勉強に没頭した。その甲斐あって、翌年、裕斗は、志望校に合格する。そして、裕斗が、新居で、生活を始めようとした時、そこに、愛美が現れる。しかし、愛美は、一人ではなかった。同じサークルの見知らぬ彼と一緒だった。愛美は、裕斗に、同じサークルに所属する事を薦めるが、裕斗は、それを断る。裕斗は、もし、入部するなら、体育会系のクラブに入りたいと思っていたからだった。しかし、その事が、裕斗に思わぬ出来事をもたらす事になる。裕斗は、自分の意志とは裏腹に、ラグビー部に所属する事になった。本来なら、このクラブではなく、また違うクラブになっていたかもしれなかったが、運命は、裕斗をそのクラブに誘っていた。裕斗は、そこで、4年間、頑張った。その間、愛美は青春を謳歌していた。そして、裕斗より、いち早く、都会で就職していた。裕斗は、その事も知らず、やがて、自分が卒業し、実家の酒屋に戻ってきた。そこで、働き始めて、一年目の夏、愛美から連絡が有り、裕斗は、久しぶりに彼女に会う事にする。久しぶりに会った彼女は、昔同様、かわいかった。そして、久しぶりに会ったにも関わらず、会話がはずんだ。裕斗は、もう、二度と、愛美を失いたくない。と、いう衝動に駆られ、愛美に交際を申し込む。すると、彼女も気持ちは同じだったらしく、OKしてくれた。それから、二人は付き合いだした。ただ、如何せん、遠距離恋愛だったため、すれ違いが多く、やがて、二人とも、違う相手を見つけて、結婚する事になった。これで、全てうまく行くと思われたが、何と、運命は不思議なもので、二人とも、自分の相手が不倫して、そのせいで、別れてしまう。その事で、裕斗は、何も、変化はなかったが、愛美は、都会の生活に疲れ、仕事も辞め、部屋も引き払い、また、裕斗のいる場所に戻る事になった。田舎に戻った愛美は、もう一度、裕斗の所を訪ねると、裕斗もまた、同じような境遇で、お互い、独身に戻っていた。それから、二人は、また、付き合い始めていた。と、同時に、愛美は、裕斗の所で働くようになった。そんな折りも折り、裕斗は、また、空に、クジラが浮かんでいるのを発見した。裕斗は好奇心から、そのクジラを追いかけて行く事にした。すると、クジラは、ある森に降り立って行った。裕斗は、森の入り口に車を置いて、そこに行くと、そこには、神社が有って、そこから、白装束を来た見知らぬ男が声をかけてきた。『あなたも、あの幸運のクジラを見たんですか？』そう言われて、裕斗は、『そうです。』と、答えた。すると、男は、こう言う事を言った。『あなたには、きっと、良い事が起こりますよ。』それを聞いて、裕斗は、『何を根拠にそんな事を言うのか？』と、思ったが、それは口にせず、家に帰ると、何故か、その日は大忙しで、猫の手も借りたい状態だった。その事が有って、裕斗は、次の日、また、あの森を訪ねた。しかし、そこには、神社はなく、ただ、森があるのみだった。そこで、裕斗は、考えた。きっと、これは、クジラの出現と、神社の出現は相関関係が有る。と、思い、また、次の日から、空を眺める事にした。すると、ある時、空に、例のクジラを発見した。そして、それを追いかけて行くと、やはり、クジラは、また、あの森に降りて行った。裕斗は、車を置いて、森の中に入ると、やはり、そこには、神社が存在していた。裕斗が不思議な顔をしていると、そこに、また、あの神主がやって来た。裕斗は、前回から今日までの事を話すと、神主は、急に、見知らぬ服に、衣装を変え、『この場所は、現世と仮想世界を繋ぐ場所で、クジラはその鍵です。』と、言った。そして、そのまま、裕斗は、その仮想世界に行く事になった。裕斗は、クジラに乗り、その国に向かった。その国に着くと、何故か、ユウトは、王様だった。その国の民は、ユウトを、驚愕の眼差しで見つめた。そして、城に着いても、やはり、みんなは、驚愕の眼差しでユウトを見つめた。そんなユウトに、民衆は、今までの経緯を話すように迫るが、話せる訳はなく、デタラメに話をでっちあげる。そして、最後に、もう一度、自分の国に帰ると言うと、何故か、裕斗は、監禁された。その事で、牢屋の中で、憤慨するユウトの元に、神主が牢屋の鍵を持って現れる。そして、解放された裕斗を待っていたのは、クジラから姿を変えた天馬だった。ユウトは、その天馬に乗って宮中散歩を楽しもうとするが、そこに、無数の弓矢が襲い掛かる。それは、この国の実質的支配者の伯爵の差し金だった。伯爵は、急に現れた王が邪魔ものだったのだ。だから、いっそ、殺してしまおうと考えていた。そうとは知らず、命からがら、森に逃げ込んだユウトを、農民たちが匿ってくれた。そして、そこで、農民達は、伯爵に対して蜂起するように願い出る。最初、渋るユウトだが、やがて、その熱意に負け、蜂起する事を誓う。そして、城に攻め込むが、如何せん、城の防御は固かった。攻めあぐねるユウト達に援軍が現れる。それは、突如、変化したクジラ軍団だった。クジラは、その尾ビレで、城壁を壊して、中に攻め入った。城に雪崩れ込んでくる軍勢を見て、もはやこれまでと、伯爵は、その命を絶った。そこに、裕斗は、駆け付け、農民達に向かって雄叫びを挙げた。それを見て、あの神主が手を叩きながらやって来る。この神主は、一体、何者なのか？また、天馬は、何故、クジラに変わったのか？そして、何より、このクジラの正体は、一体、何者なのか？そして、この国の命運はどうなるのか？そして、日本に残してきた愛美は、また、家族は？多くの謎を残して、物語は進んで行く。後は、どうぞ、本を購入してお読み下さい。