- 南十字星が頭上に輝く小さな小さな星にぼくらは住んでいた。歩いてもほんの数日で一周できちゃうくらいだから、どれだけ小さなところに住んでいたのかわかるだろう。その星の上にぼくらは漂うように生きていたんだ。-
魂の幼生達が、自分の左隣にいる存在を求めて生きるファンタジー。空の南十字にはいつか左側と一緒に旅立つ場所。そこには素晴らしい何かが、きっとある。
- 毎日が南十字星の動きにそって流れていった。ぼくの前に生まれたセンっていうのはね、とってもシンプルできれいな形をしてて、生まれてからあっという間にあの南十字へと旅だっていったんだそうだ。いまだ旅立てないミロやリザやコイなんかが、いつもその話をしてくれる。憧れたような目つきで、話の合間にきまってうつむいて、そして最後はでっぱりを引っ張りあうようにして大騒ぎになって話が終わるんだ。-
- ぼくらにとってでっぱりの形は何よりも重要なんだ。だからおいそれとその辺の知らない奴になんか触らせたりしない。(とは言えこっちがわに住んでる連中に知らない奴なんていないんだけどさ。)へたに触られてひんまがったりしたらもう大変な騒ぎさ。それこそ、北の極点に住む爺様と同じてんまつになっちゃうんだから。南十字に行けなくなるなんてまったくもってとんでもない。-
- なんか色々と不安だよ、きみはどう思う?だいたいきみってちょっとずるいんじゃないかな。だってそこからぼくらの様子を眺めているだけなんだろう。もう何年も何年もずっとぼくらを眺めてきて、それでいてなんにも口をきかないってのはずるいんじゃないか。爺様が以前教えてくれたよ、きみたちはぼくらよりもずっと長い時間をその姿で過ごすんだって。うらやましいなそれ。ぼくらなんてせいぜい、この星が十数回あの灰色の星を回ったらここから旅立たなきゃいけないんだから。せっかくできた友達も仲間もみんなと別れてさ、左隣と一緒に二人っきりで旅立たなきゃいけない。リザがね、そう言ってたんだ。-
- 今日きみの前に行ったとき、一瞬だけどぼくはこれを書いたのはコイかミロ、いやひょっとしたら昨日から姿が見えないリザのしわざだと思った。でそう思ったらなんだか恥ずかしくなって、だってきみに向かって話しかけてるってことをコイかミロかリザの誰かにばれちゃってるってことだろ、そう思ったら頭がうわーってなっちゃって、あわててその言葉を消しちゃったんだ。-
PIETAS FABULAE Ship of cross and left piece (COCOROZASI NET) (Japanese Edition)
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